12月19日(木) 厚生労働委員会で質問 労基法改悪反対&国は長生炭鉱の遺骨収容のために動け!

厚生労働委員会

長生炭鉱 「国が出来ないことを、市民がやった!」

大椿ゆうこ/ 長生炭鉱については3月22日にも質問したが、あれから随分と状況が変わった。地元の市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」がクラウドファンディング等で1000万円以上を集め、9月25日に坑口が発見された。今後も、遺骨収容のための潜水調査が行われる予定だ。11月6日に「刻む会」の井上洋子共同代表が現状の説明を、また12月11日に坑道への潜水調査を行っている水中探検家の伊左治佳孝さんが潜水調査のリスクとその改善策、及び遺骨発掘の可能性について、厚労省の人道調査室並びに外務省北東アジア第一課と面談を行った。それについて、大臣は説明を受けているか?

福岡大臣/ 1942年に長生炭鉱において発生した事故については、大変痛ましい事故であったと認識しており、犠牲になられた方々に心からお悔やみを申し上げる。本件に関しては、事務方に対して、関係する議員や団体のお話をよく伺っていくように指示をしており、11月6日、12月11日のやり取りについては事務方から報告を受け、現状を把握している。

大椿ゆうこ/ 武見敬三前厚労大臣が退任される前、坑口が開いたのであれば大椿議員のところに行って話を聞くようにという指示を出されたために二度の面談が実現できたことには心から感謝を申し上げたい。これまで政府は、長生炭鉱の遺骨は遺骨の埋没位置・深度等が明らかでないため、現時点では実地調査は困難だとの答弁を繰り返してきた。市民の力で坑口を開け、坑道に入って潜水調査を行い、遺骨を見付け出せるかもしれない段階になったが、大臣は状況が変わったという認識を持っているか?

福岡大臣/ 市民団体等の取組が進んでいることについては事務方から報告を受けているが、従来から申し上げているように、遺骨の位置・深度等が明らかでないと認識しており、引き続き市民団体等の方から丁寧にお話を承っていきたい

大椿ゆうこ/ 潜水調査をされている伊左治さんの説明(※委員全員に配布した伊左治さんの説明の要旨はこちら)についての報告を受け、大臣はどのように感じられたか?

福岡大臣/ 伊左治氏は、坑道の入口からの潜水調査は可能で、ご遺骨は回収できる、また坑口を補強することなどで坑道崩壊のリスクを減らせると仰ったと承知している。一方、潜水調査には、閉鎖環境であり何が起きても浮上ができないこと、また坑道内の水の透明度が低いといったリスクもあり、一般のダイバーでは潜水は無理な場所だと仰っていたとも聞いている。専門家の方々のこういったお話も踏まえると、80年以上も前に落盤事故が発生した海底の坑道に潜水して調査・発掘することについての安全性や実現可能性については、依然懸念があると考えている。

大椿ゆうこ/ 伊左治さんは、大きなリスクの一つが、坑道入口だとおっしゃっていた。坑口を開けたことで空気に触れてしまった入口は、劣化が進む。また、台風か何かが起きたときに、入口が土砂で埋まってしまうと、二度と調査が出来ない。伊左治さんは、先延ばしにして良いことは何もない、出来るだけ早く調査をすべきだと言っている。大臣には、時間的な制限がある調査だという認識はあるか?

福岡大臣/ 時間が経過することによって様々なリスクが発生するという説明は承っている。

大椿ゆうこ/ 伊左治さんは、1月31日から2月2日まで行う次回の潜水調査で遺骨を見つけ出すことを目標にしている。ここで遺骨が見付かった場合、国はどのように対応するのか?

政府参考人[厚労省職業安定局長]/ 一般論として、人骨が発見された場合は、管轄する都道府県警察等において、刑事訴訟法や死因身元調査法に基づき、死亡が犯罪に起因するか否かや身元を明らかにするための調査を行うこととされている。その結果、事件性がなく身元が明らかでない遺骨については、警察から市町村に引き渡される。

政府答弁は、一般的な無縁仏の取り扱いについて説明するばかり。戦没者のご遺骨のように、特別な取り扱いの定めがないためですが、長生炭鉱は事故に遭った方の名前が確定している珍しい事例。確実にご遺族への返還を実現するため、国は策を練るべきではないでしょうか。

大椿ゆうこ/ これだけ市民の方々が、自分たちでお金を集めて坑口を開け、潜水調査を行っている。国が一般論で語っている段階ではない。政府は2005年の「朝鮮半島出身旧軍人・軍属及び旧民間徴用者等の遺骨の問題に関する日韓協議」で実施調査の対象とすると合意された遺骨は、寺社等にあるものに限定されると主張しているが、長生炭鉱のような事例については人道調査室が実地調査を行う根拠がないということか?

政府参考人[厚労省]/ 厚生労働省では、韓国との間の合意に基づいて、遺骨の所在に関する情報収集や遺骨の実地調査等を行っている。2005年の日韓協議では、遺骨の所在が明らかになった寺院等に実際に赴き、関連情報に関する調査を行うと合意しており、それに基づいて実地調査を実施している。長生炭鉱の遺骨については、安全性の懸念等を考慮すると、実地調査という実務に照らして対応可能な範囲を超えており、現時点では調査の対象とすることは困難だと考えている。

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