12月17日(火) 「闇バイトとギャンブル依存症問題」議員会館内勉強会に参加

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12月17日、衆議院第1議員会館で「闇バイトとギャンブル依存症問題: 違法オンラインカジノ対策に向けて」議員会館内勉強会が開かれました。大椿ゆうこも参加し、公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会代表の田中紀子さんのご講演を伺いました。

田中さんは、最近特に大きく社会問題化している「闇バイト」の背景に、違法なオンラインギャンブルの広がりがあるのではないかという問題意識を話されました。日本では賭博が原則禁止されていますが、海外に拠点を置く事業者が運営するオンラインカジノへのアクセスは野放しにされています。実質的に、全国どこでも、いくらでもオンラインカジノが利用できるような状態になってしまい、依存症に陥るスピードが加速されているとのことです。カジノで借金が嵩んだ結果、「闇バイト」に手を染めてしまう若者も出てきています。

事業の拠点が海外にあっても、日本人を対象にしたオンラインカジノは少なくありません。ネットにはスポーツ選手等の有名人を使った広告・動画が溢れており、オンラインカジノ事業者に対する決済手段を提供する決済代行業者もいます。YouTuberがオンラインカジノの実況を行った例もあります。日本語でサービスを提供するオンラインカジノサイトも100以上あり、現在も日本国内からアクセスできる状態です。

岸田内閣総理大臣が2022年6月の衆議院予算委員会でオンラインカジノは違法だと答弁し、警察庁・消費者庁は「日本国内ではオンラインカジノに接続して賭博を行うことは犯罪です」という啓発を行うようになりましたが、オンラインカジノの営業には何ら規制を掛けられていません。

田中さんは、「ギャンブルは原則違法で、行政庁が監督するという条件で特定の者が解禁されている。アルコール・薬物・ゲームと比べ、国の責任は全く違う」と、国がオンラインカジノ規制を積極的に行うよう求めました。具体的には、①日本人に対しオンラインカジノを提供する事業者に対する罰則を設け、対策のための予算・専門人材を確保すること、②日本国内でオンラインカジノを宣伝するアフィリエイターや決済手段を提供する決済代行会社を取り締まること、③オンラインカジノのサイトをブロックする制度を整備することの3点です。田中さんは、とりわけサービスの提供を厳罰化することで、依存症に陥る人も減らすことが出来るはずだと主張しました。

田中さんの要望の詳細については、「ギャンブル依存症問題を考える会」が出された「オンラインカジノを規制する法改正又は特別法の立法を求める要望書」をご参照下さい。

 

大椿ゆうこは、ギャンブル依存症患者やその家族のケアを担っていらっしゃる田中さんに、大阪・夢洲で計画されるカジノ建設についての見解を伺いました。田中さんは、オンラインカジノでもこれだけ被害が出ている中、実地のカジノが出来れば依存症患者が増えるのではないか、また20代の若者を中心に自死してしまう人も増えるのではないかとの懸念を示しました。

また、「勝負勘がつく」などとして中小企業の経営者が社員旅行の行先をカジノにする事例や、スポーツ選手がカジノを訪れる事例もあるとのことで、大阪のカジノでカジノの楽しさを覚え、旅行から帰った後はオンラインカジノにはまり込むようになるかもしれず、大阪のカジノがオンラインカジノへのゲートウェイになるのではないかとも指摘しました。

夢洲カジノ計画を進める維新の会は、カジノ収入を原資に依存症対策を充実させると言いますが、大阪依存症包括支援拠点(OATIS)は基本的に大阪府内の依存症患者に対応するもの。大阪府外から夢洲カジノを訪れたのをきっかけに依存症になってしまった府外の住民へのケアが用意されていないとの問題もあります。

勉強会には、オンラインギャンブル依存症当事者である学生の方も参加されました。「大学に入ったときに、『みんなでやった方が楽しい』と誘われ、集団でオンラインギャンブルをやるようになった。大学の喫煙所では、みんな携帯でギャンブルをしていた」「最初は競馬をしていたが、Twitterで競馬の情報を集める中で、スポーツベッティングの広告に触れ、そちらをやるようになった」と勇気を出して自らの体験を語り、早いうちからギャンブルの危険性を知らせる啓発教育を行うことなどを要望されました。

田中さんによれば、ギャンブルを始める平均年齢は高校卒業後の18歳くらいで、大きく変化はしていないとのこと。しかし、実地のギャンブルと違い、オンラインギャンブルには地理的・時間的な制約がないことから、依存症になるまでの時間が短くなり、結果的に若者の依存症が急増しているとのことです。とりわけ地方では、啓発教育の機会も、ケアに当たる人材も不足していますが、オンラインカジノはそうした地域差に関係なく、全国に広がっています。依存症患者の回復・就労支援についても、田中さんの団体のような民間団体が寄付を集め、生活費・住居費などを支給している状態です。田中さんは、「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」にオンラインカジノ対策を盛り込み、国の取り組みを強化するよう求めました。

今回の勉強会には、カジノ計画を進める維新の国会議員・前議員も来られていました。「依存症支援には賛成」という声も党派を超えて聞こえてきましたが、最も大切なのは、依存症の原因を減らすことです。「人を苦しめるカジノには断固反対!」という声を、国会内で上げ続けます。

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