この日は決算委員会で質問に立ち、関西生コンに対する弾圧事件について質問しました。「国家権力が憲法28条にケンカを売った」という弾圧事件。警察・検察が産業別労働組合を理解しないまま、次々と組合員を逮捕し、その家族の人生も無茶苦茶にした挙句、次々無罪判決が出されています。警察・検察は猛省し、労働法を学び直せ!と求めました。
冤罪を生む人質司法の是正を!
大椿ゆうこ/ 捜査機関による冤罪事件や人質司法について社会的な批判が高まっている。昨年10月9日に再審無罪が確定した袴田巖さんの事件を始め、ずさんな捜査と証拠が明らかになった、そして大阪で起きたについてはよく知られている。前職で労働組合の役員をしていた私は、プレサンス事件が起こる直前まで事件の舞台となった学校法人明浄学園と団体交渉をしており、21億円の横領に関与したとして逮捕・起訴された元理事長らとも顔を合わせていたので、この事件は大変印象に残っている。226日勾留された大手メディアKADOKAWAの代表者・角川歴彦さんは、昨年、人質司法違憲訴訟を提訴している。警察や検察が自白を強要し、長期勾留したり、証拠を捏造したりするという驚くべきことが起きている。これらの無罪判決を警察・検察はどのように受け止めているか。
大川原化工機事件…生物兵器に転用可能な噴霧乾燥機を経産省の許可を得ず中国等に輸出したことが外為法違反だとして、警視庁公安部外事一課が社長ら3人を逮捕するも、不適切な捜査が明らかになり、起訴が取り消された事件。長期間拘束された3人のうち1人は拘置所内で体調を崩し、亡くなった。
プレサンス事件…大手不動産会社プレサンスコーポレーションの社長が、学校法人明浄学院の理事長の業務上横領を共謀したとして逮捕・起訴されるも、検察官の不適切な取り調べが明らかになり、公判で無罪とされた事件。
KADOKAWA事件…東京五輪のスポンサー選定を巡る汚職事件で、贈賄罪に問われた角川氏が、持病の手術を控えた身であったにも拘わらず長期拘留された事件。
坂井学国家公安委員長/ 現在も公判係属中であるものや国家賠償請求訴訟が係属しているものがあるため、個別の事件への言及は差し控える。その上で、一般論として、無罪判決を受けた事件等については、警察として、その内容を振り返った上で、教訓とすべきものは教訓として、より一層緻密かつ適正な捜査を推進することが重要であると考えている。
政府参考人[法務省]/ 個別の事案に関わる事柄について法務当局として所見を言うことは差し控えるが、一般論として、検察の捜査・公判活動が適正に行われなければならないことは当然であると考えている。検察の活動は国民の信頼の上に成り立っており、検察権の行使の適正さに疑いが生じるようなことがあれば、検察の活動の基盤を揺るがしかねないものと認識している。検察当局においても、そうした認識の下、捜査・公判活動が適正に行われるよう、適切に対応していく。
大椿ゆうこ/ 本当に教訓にできているのかという点について質問したいと考えているが、まず、人質司法・代用監獄に対する批判が出ていることについて、警察庁はどのように受け止めているか。
坂井国家公安委員長/ 我が国の刑事司法制度の下では、刑事訴訟法で定められた期間内に、被疑者に対する証拠品の提示・取調べ等の所要の捜査を迅速かつ適正に行う必要がある。このため、刑事収容施設法に基づき、全国的にきめ細かく設置されている警察の留置施設に被疑者を勾留することができる代替収容制度(代用監獄)が重要な役割を果たしているものと認識している。
大椿ゆうこ/ 後ほど触れる関西生コン事件に関しては、現委員長が644日も長期勾留された。2年に近い歳月の間拘束する、これのどこが迅速・適正なのか。
坂井国家公安委員長/ 決められた期間内に送致する(被疑者の身柄を検察に送る)ことが求められているということだ。
大椿ゆうこ/ 迅速かどうかについては答えがなかった。人質司法については国際的に批判されている。冤罪は重大な人権侵害であり、冤罪をなくすためには再発防止が必要だと考える。再発防止のために、警察庁は、捜査責任者を務める幹部クラス等を対象にした教育や研修活動を実施しているのか。また、同じ過ちを犯さないために、無罪が確定した事件をテーマに担当者を集めて問題を検証したり、警察組織全体として教訓化するような教育や研修を行ったりしているのか。この点に特化したプログラムや予算措置は講じられているのか。実施している場合は、過去3年間の予算・決算の状況について報告されたい。
政府参考人[警察庁]/ 無罪が確定した事件から教訓を酌み取って、その後の捜査に生かしていくことは大変重要だと考えている。例えば、昨年、静岡県警察において、袴田事件の再審無罪判決を踏まえ、今後一層の適正捜査の推進に資する教訓を得るための事実確認を行った。その際には、取調べの組織的な管理と自浄機能の強化などに努めるなど、適正化の取組を継続していくこと、改めて初動捜査の重要性を認識し、今後も初動捜査を徹底していくこと、証拠物件や捜査資料等に関する規定に基づいて厳格な保管管理を徹底することなどの教訓が得られた。警察においては、こうした教訓等も踏まえて、適正捜査に関する様々な研修を実施しており、警察大学校や管区警察学校等においては、再審無罪事件の弁護を担当した弁護士、刑事裁判に携わる裁判官、大学教授等の外部講師を招いた講義や講演会も実施している。こうした研修は警察の教養プログラムの中に広く組み込まれているため、適正捜査に関する研修に要する経費のみを取り出すことは困難だが、警察教養の予算全体については、2023年・2024年・2025年にそれぞれ85億円、91億円、85億円を計上している。
大椿ゆうこ/ そのプログラムの中には、冤罪被害者本人から直接話を聞くものはあるか?
政府参考人[警察庁]/ 現時点においては、そういった内容のものは含まれていない。
大椿ゆうこ/ 最も冤罪事件で人生を翻弄されるのは被害者本人なので、そういった方から直接話を聞くことが最も教訓になるのではないかと思う。