5月16日(金) 消費者問題に関する特別委員会で質問 「大臣!いい加減斎藤元彦知事にガツンと言ってくれませんか?」

国会活動(委員会議事録)

5月14日の参議院本会議に引き続き、この日は消費者問題に関する特別委員会で公益通報者保護法改定案について質問しました。主に取り上げたのは、兵庫県の一連の問題。消費者庁から反論されてもなお、独自の法解釈を展開し、自らの過ちを認めようとしない斎藤元彦知事に、もっと踏み込んだ対応を出来ないのか、伊東良孝大臣に迫りました。

大椿ゆうこの激しい質問が、その後消費者庁を突き動かすことに… 結末は、ブログ末尾でご確認ください。

通報妨害・通報者探索の「正当な理由」とは?

大椿ゆうこ/ 改定案は、事業者が正当な理由なく公益通報を妨げる行為、及び、正当な理由がなく公益通報者を特定することを目的とする行為(通報者の探索)を禁止すると規定している。ここで言う「正当な理由」とは何か。事業者が正当な理由があると主張すれば、例えば営業上の秘密の保護といったもっともらしい理由を付ければ、通報妨害や通報者の探索が行われるのではないかと懸念する。正当な理由は限りなく限定されるべきではないかと考えるが、大臣はどのような考えか。

伊東良孝内閣府特命担当大臣/ ご指摘の通り、正当な理由は例外的かつ限定的な場合にとどめるべきと考える。その上で、公益通報を妨げる行為の正当な理由については、例えば労働者に対し、事業者の不正行為について、特段の根拠なく単なる思い込みで報道機関や取引先などに通報しないよう文書または口頭で求めることは該当し得る。また、公益通報者を探索する行為の正当な理由については、例えば匿名の通報について、通報者が具体的にどのような局面で不正を認識したのかなどを特定した上でなければ必要な調査や是正ができない場合、該当し得る。

大椿ゆうこ/ これでは3号通報(マスコミ等への外部通報)を実質的に禁止することに繋がるのではないかと感じたが、いかがか。

伊東大臣/ 3号通報については、法律で通報内容について真実相当性が求められている。このため、特段の根拠なく単なる思い込みで通報する場合は真実相当性を満たしておらず、3号通報の保護要件を満たさない。従って、正当な事例を例示することは、3号通報を実質的に禁止するものではない。

大椿ゆうこ/ 労働者に対して、特段の根拠なく違反事実を外部に口外しないよう求めることを可能にしたとする。事業者が十分な調査や問題解決を行わないため、労働者が外部通報するしかないと考えた場合、労働者はなおさら事業者の違反事実を証明する証拠をそろえて通報しなければならない。その場合、根拠となる資料の持ち出しは通報に付随する行為であると考える。ならば、通報のために必要で、社会的相当性を逸脱せず、通報以外の目的には使用しない資料の収集・持ち出しについては免責する規定を導入すべきではないか?

政府参考人[消費者庁]/ 3号通報の保護要件である真実相当性は、単なる臆測や伝聞等ではなく通報内容を裏付ける内部資料等がある場合や、関係者による信用性の高い供述がある場合などがある。通報時において根拠となるものを示すことが求められている訳ではないため、外部通報のために資料の収集・持ち出しは必ずしも求められていない。これまでの裁判例を踏まえると、公益通報を理由とする資料収集・持ち出しを一定の要件の下で免責する規定を導入することは現状困難ではないかと考えている。

大椿ゆうこ/ 通報者が、自分が言っていることには正当性がある、真実であるということを本当に信じてもらおうと思うと、やはり資料を持ち出し、それに基づいて説明をするという行為は必要だと思うので、その免責についてはしっかり議論すべきである。

日弁連が第5回公益通報者保護制度検討会に提出した資料では、裏付け資料が存在する場合、資料の持ち出しを行った割合は55%となっています。フランスやドイツは、公益通報のための情報の取得や、取得した情報の開示について、何らかの免責規定を設けています。検討会では、「近年通報者が資料を手元に持っていない、示していないということを以て、事業者が真実相当性がないと主張する実情がある」と指摘されていました。次回の法改定時の重要な論点になるのではないでしょうか。

消費者庁vs兵庫県知事

大椿ゆうこ/ 齋藤元彦兵庫県知事が、会見で「法が定める法定整備義務には外部通報も含まれるという考え方がある一方で、内部通報に限定されるという考え方もある」と発言していることを受け、4月8日、消費者庁参事官室が兵庫県に対して「消費者庁の公式見解とは異なる」とのメールを送ったと報道されている。どのような経緯で送ったのか、また知事側の対応について、大臣の見解は?

<消費者庁が送ったメール>

平素より公益通報者保護制度にご理解頂きありがとうございます。

突然のご連絡となって恐縮ではございますが、今般、貴県斎藤知事が会見にて、「体制整備義務につきましても、法定指針の対象について、3号通報も含まれるという考え方がある一方で、これは内部通報に限定されるという考え方もあります。」と、消費者庁による公式見解とは異なる内容のご発言をされていることを確認致しました。

消費者庁は、公益通報者保護法の委任を受けた指針において、現行制度上既に、2号通報者・3号通報者を含む公益通報者を保護する体制の整備として事業者がとるべき措置を定め、地方公共団体を含めて、これに沿った対応を求めています。

なお昨年10月30日付けの貴県議会事務局長宛の文書でも、その旨を回答しているところです。

消費者庁としては、地方自治法第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言として、地方公共団体における公益通報制度の理解、同制度に関する体制整備その他適切な運用も促進しているところ、本件にてご送付した内容の趣旨を、知事以下関係部署も含めて十分にご理解頂き、適切な対応をとられるよう何卒よろしくお願い申し上げます。

消費者庁 参事官(公益通報・協働担当)室

伊東大臣/ ご指摘の通り一般的な助言として伝達している。これは、3月26日の兵庫県知事会見で、「体制整備義務につきましても、法定指針の対象について、3号通報も含まれるという考え方がある一方で、これは内部通報に限定されるという考え方もあります」と発言があったことを踏まえ、消費者庁の法令の解釈について見解を伝達したものである。この助言について、兵庫県知事は5月8日の会見で、「消費者庁から一般的な法解釈としての指摘がなされたことは大変重く受け止めなければならない、法の趣旨に沿って対応していきたい」と発言があったと聞いている。また、5月14日に、兵庫県の事務方からも知事の法解釈は消費者庁の見解と齟齬はないことを確認しており、兵庫県において消費者庁の法解釈に沿って適切に対応されるものと考えている。

大椿ゆうこ/ これは一般的な助言としてされたものであって、地方自治法に基づく技術的助言ではないということで良いか?

政府参考人[消費者庁]/ ご指摘のとおり、一般的助言として行ったものである。

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