3月26日(水) 予算委員会で質問② 米兵の性暴力を防げ!

その他

3月26日(水)の予算委員会報告の後半です。

同性婚法制化の次は、繰り返される米兵の性暴力について、政府の対応を質しました。政府は米軍に綱紀粛正・再発防止を申し入れると繰り返しますが、米軍の再発防止策が効果を上げているとは思えません。「これでは性暴力をなくせない」との問題意識を政府にぶつけました。

今回の質問の短い概要は、社会新報の記事でお読みいただけます。

繰り返される米軍の性暴力 大統領に実態を伝えよ!

大椿ゆうこ/ 今年は1995年の沖縄少女暴行事件から30年だ。1995年から現在まで、政府が把握している米軍関係者による性暴力事件の数、またその内昨年に起きたものの件数を、全国と沖縄に分けて教えて欲しい。

政府参考人[警察庁]/ 1995年から2024年までの30年間における米軍関係者(軍人、軍属、その家族)の性犯罪による検挙件数は、全国で133件、沖縄県で53件。また、昨年の検挙件数は、全国で6件、沖縄県で4件

大椿ゆうこ/ 今ご報告があったのはあくまでも検挙件数なので、この数字に上がっていない被害があることも想定しておかなければならない。昨年12月、沖縄タイムスが出した1945年から2024年12月までの米軍関係者の性犯罪のまとめを見ても、すさまじい数の性犯罪が起きているということが判る。そして、ここに上がっていないものもあるということを私たちは想像しなければいけない。

大椿ゆうこ/ 今年2月に石破総理が訪米した際、トランプ大統領に直接、米兵による性暴力事件の実態を伝え、抗議し、再発防止のための対策を求めたか?

岩屋毅外務大臣/ 先の日米首脳会談は、石破政権・トランプ政権がが発足して初の日米の首脳会談だったので、強固な信頼関係を築くことを第一の目的として開催されたと承知している。そこで、安全保障分野を含む日米関係全般について意見交換し、日米同盟の抑止力・対処力を高め、日米が直面する地域の戦略的課題に緊密に連携して向き合っていくということで一致した。また、その際、石破総理からトランプ大統領に沖縄の負担軽減の必要性を説明した。米軍関係者による事件・事故はあってはならなず、米側には綱紀粛正と再発防止の徹底を引き続き働きかける。

大椿ゆうこ/ 具体的にどのような負担軽減を申し入れたのか? その中に性暴力は入っていたか?

岩屋外務大臣/ あくまでも日米関係の大枠についての議論を行う中で、総理から沖縄の負担軽減が必要だという話をした。詳細については差し控えるが、米軍による事件等について立ち入って議論をした訳ではない。

大椿ゆうこ/ 強固な信頼関係を作るなら、まずそのことを伝えねばならなかったのではないか? 何故伝えなかったのか?

岩屋外務大臣/ 日米間ではあらゆるレベルで緊密に意思疎通を行っており、その中で米軍の綱紀粛正・再発防止ということは機会あるごとに言っている。私からも米軍関係者に会う時は、必ず伝えている。

大椿ゆうこ/ 綱紀粛正が実現していないからこそ、やはり石破総理がトランプ大統領に直接、こういう問題が起きている、起き続けていると伝えるべきだったということを、強く言っておく。

沖縄県への隠蔽は大問題

大椿ゆうこ/ 昨年6月には、2023年12月24日に16歳未満の少女が米空軍兵長によって誘拐・性的暴行を受けた事件が外務省によって6か月以上隠蔽され、防衛省や地元自治体に共有されていなかったことが発覚した。1997年、日米合同委員会で合意された「在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続」には、地域社会に対する情報共有が明記されている。その理由は何か?

政府参考人[外務省]/ 在日米軍に係る事件・事故に対する日本側関係当局の迅速な対応を確保し、事件・事故が地域社会に与える影響を最小限のものとするために、通報の対象となる事件・事故の基準を、及び通報の経路等を定めている。

大椿ゆうこ/ 地域社会に対する情報提供に責任を持つのは、外務省・防衛省のどちらか?

政府参考人[外務省]/ 米側からの情報を受けた後、外務省と防衛省は至急相互に情報を確認し、緊密に連携の上、地方防衛局経由で関係自治体に情報提供する。

大椿ゆうこ/ 2023年12月の事件について、なぜ外務省は防衛省と連携し、沖縄県側に情報共有しなかったのか?

政府参考人[外務省]/ この事件については、捜査当局(=沖縄県警)が、事案が公になることで被害者の名誉・プライバシーに甚大な影響を与えることがあり得ることなどを考慮し、非公表とすべきと判断したものと承知している。外務省も、そのような捜査当局の判断を踏まえ、関係者に対する情報提供は控えるものと理解して対応した。

大椿ゆうこ/ プライバシーの配慮については後で聞くが、この事件に関して沖縄県側に情報提供しないことを決めたのは誰か? 何を根拠に情報提供する必要がないと判断したのか?

政府参考人[外務省]/ 外務省事務方において判断した。理由については、捜査当局が非公表とすべきと判断したことを踏まえ、外務省においても関係者に対する情報提供は控えるものと理解して対応した。

大椿ゆうこ/ 一般的に米軍に関係する事件・事故の通報可否を判断するのは誰か?

政府参考人[外務省]/ 外務省の事務方が判断している。

大椿ゆうこ/ 被害者のプライバシーを守りながら自治体に通報することは可能なのではないか? 外務省はこれまでそのように対応してきたはずだ。それなのに、2023年12月24日の事件については、防衛省にも地元にも伝えず、隠蔽していた。そのことに地元の方々はとりわけ怒っている。この厳しい指摘を受け、政府は運用を変えたのか?

政府参考人[外務省]/ 近年プライバシーに関しては、SNS等の情報発信ツールの発達により、被害者のプライバシーや心情、二次被害の防止に配慮する必要性が生じている。これを踏まえ、昨年の7月から、米軍人等による性犯罪で、捜査当局による積極的な広報がなされない事案について、起訴事案については全ての事案、不起訴事案については被疑者により犯行が行われたと認められる事案につき、捜査終了後に沖縄県へ可能な範囲の情報を共有するという運用を開始した。加えて、沖縄県警からも、米軍人等による性犯罪で報道発表しないものについて、検挙後に那覇地方検察庁と相談した上で、被害者のプライバシー保護等に留意しつつ、可能な範囲で沖縄県への情報共有を行うこととなった。

大椿ゆうこ/ プライバシーの尊重は重要だが、非常に深刻な性暴力のようなことが起これば、地元自治体が早期に知りたいと思うのは当然だ。

政府側は、捜査当局(県警)が事件を(マスコミ等に)公表するどうかの判断と、事件の内容を防衛省や沖縄県と言った行政機関に提供するかどうかの判断を、(意図的に?)混同した答弁を繰り返しました。仮に事件の性質上、マスコミ等が情報を公に出来ないものであっても、事件が起きた事実や、その概要を、被害者のプライバシーを害さない形で行政機関に知らせることは可能なはずです。行政機関同士で情報共有するだけならば、事件の情報がマスコミをはじめ外部に漏れることもなく、被害者のプライバシー侵害も発生し得ないのではないでしょうか。
タイトルとURLをコピーしました