戦没者遺骨のDNA鑑定を進める努力を!
大椿ゆうこ) 厚労省は2023年5月時点で、12000体余りの戦没者遺骨のDNA検体を保管している。ところが、鑑定件数はなかなか増えていない。厚労省は太平洋中部タラワ環礁(キリバス共和国)で収容されたご遺骨については、遺族を探し出して鑑定しないかと声を掛けている。その結果たった1年で2検体についてご遺族が判明し返還が叶ったが、それ以外については、ご遺族が鑑定を依頼しなければ鑑定しない「手挙げ方式」だ。何故同様のことを他の地域、例えば日本国内・沖縄・硫黄島だけにでも拡大できないのか?
泉審議官) タラワ環礁で収容されたご遺骨は、情報のないご遺骨の返還のため、試験的にご遺族を探し出して返還を行った。ご遺族の現住所の確認に当たった地方自治体から、事務負担が非常に重いとの声を受けた。このような取り組みを全戦没者遺族に拡大すると、180万人ものご遺族を探し出す必要があり、地方自治体の事務負担が大変重くなるため、現在はご遺族からの公簿により鑑定を実施することにしている。一人でも多くのご遺族が鑑定するよう、戦没者の妻への給付金の案内を送る際にDNA鑑定のリーフレットを同封する、新聞広告・日本遺族会や地方自治体の広報誌に鑑定の案内を掲載する、地方自治体や介護施設にポスター・リーフレットを設置する等、周知を図っている。
大椿ゆうこ) 地方自治体の事務作業が大変だったことは理解した。一旦戦争が起これば、家に帰って来られないご遺骨をこれだけ生み出してしまう。過去の戦争であっても、生きている私たちはその責任をきちんと取り、ご遺骨を故郷・家族の元に返す最大限の努力をしなければならないと思う。だからこそ、戦争は絶対にダメだ。