【ダイジェスト】3/22(金) 厚生労働委員会で質問!(雇調金・長生炭鉱・戦没者遺骨収容)

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厚労省は長生炭鉱で水没したご遺骨を調査すべき!

大椿ゆうこ) 2月3日、1942年に発生した長生炭鉱事故の犠牲者の追悼式に参加した。「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」として地元で活動している方からは厚労省からも出席して欲しいという依頼があったが、結局参加はなく、国会議員の参加は自分一人のみだった。韓国から来たご遺族も含め、非常に残念がっていた。この問題を担当している「人道調査室」の仕事内容について説明を求める。

長生炭鉱は山口県宇部市の床波海岸にある海底炭鉱。1942年2月3日午前6時頃、海岸の坑口から1000メートル以上沖の坑道で異常出水が始まり、午前8時頃水没するという「水非常」が発生した。当日は「大出しの日」で、坑道の天井を支えていた「炭の柱」も採ったことが事故の一因とされている。183人の犠牲者のうち136人が朝鮮人労働者であった。事故翌日には坑口は閉鎖され、以後開かれていないため、犠牲者のご遺骨は今も海底の坑道に残されたままになっている。
泉潤一・厚労省大臣官房審議官) 朝鮮半島出身者の遺骨返還については、2005年の「朝鮮半島出身旧軍人・軍属及び旧民間徴用者等の遺骨の問題に関する日韓協議」で合意した、①人道主義・②現実主義・③未来志向の三原則に基づき、政府として総合的な取り組みを行っている。厚生労働省職業安定局人道調査室においては、現実的に返還可能性のある遺骨の返還のため、遺骨の所在が明らかになった寺院等に赴き、遺骨の実際の保管場所や状況等の確認、関連情報の収集等の実地調査を行っている。長生炭鉱の犠牲者のご遺骨については、海底に水没している等により、発掘しなければ具体的な所在が判らない為、現実的な実務として対応可能な範囲を超えていることから、政府として調査していない
大椿ゆうこ) まだ質問していないところまで前のめりで回答頂いたが、改めて質問する。昨年12月8日、「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」及び韓国遺族会が厚生労働省・外務省と意見交換を行った。その際、厚労省は「遺骨の埋没位置、深度等が明らかではないため、現時点では、遺骨発掘を実施することは困難」と答弁している(※福島みずほ議員の質問主意書に対する答弁書でも同様の回答)。日韓協議の内容を確認したが、遺骨収容を寺院等に保管されている「見える遺骨」に限定し、水没遺骨を除外するものではないはずだ。韓国のご遺族が求める遺骨収容は厚労省の裁量で出来ると思うが、大臣はどう考えるか?
武見厚生労働大臣) 海底の坑道内に水没しているご遺骨は発掘されておらず、現状では発掘作業が難しいことを理解して欲しい。
大椿ゆうこ) 厚労省は日韓協議で合意した三原則のうち「現実主義」を言うのみで、「人道主義」「未来志向」が徹底的に欠けていると思う。日本政府は「人道主義」「未来志向」の観点からこの問題を解決する姿勢を見せるべきだ。ご遺族の楊玄さんは「日本政府は加害者の炭鉱会社(※既に廃業)に代わって犠牲者の遺骨を遺族の元に返すことが人道主義の側面、及び今後の日韓関係にあたっての未来志向の観点から、当然進められなければならない道理だと思う」と仰っている。そのことについて、大臣はどう思うか?
武見厚生労働大臣) ご遺族のお言葉は大変重く受け止めるべきだと考える。ただ、政府間交渉は外務省が行っているので、厚労省の立場では、両政府の合意に基づいてご遺骨を取り扱っている。三原則に基づき出来る限り対応する中で、水没遺骨を発掘する困難さについて理解して欲しい
大椿ゆうこ) 現在市民団体が坑口の大体の場所を特定し、そこを開ける準備をしていることを大臣は知っているか?調査・発掘は困難だと言うが、日韓協議がされた時点より技術は発展している。人道調査室は毎年約1000万円程度の予算を付けられているが、殆ど執行されていない。ならば、この1000万円を使って、まず調査をしてみてはどうか?
泉審議官) 人道調査室で確保している1000万円の予算については、日本国内で寺院等に保管されているご遺骨が返還できるようになったときの交通費等の諸経費として計上されている。
大椿ゆうこ) 厚労省の消極的な態度に、韓国のご遺族や地元の方々は本当に失望している。市民団体が始める調査に、是非厚労省も携わって欲しいと強く要望する。来年2月3日の追悼式には、大臣も一緒に行き、どんな場所で朝鮮人が強制労働されたか見てみないか? そのことが外国人労働者を日本にどう受け入れていくかにも繋がってくると思う。
武見厚生労働大臣) 市民団体とはこれまでも内閣官房・外務省と共に意見交換をしてきている。これからも関係省庁を含め、意見交換を丁寧に行っていきたい。
大椿ゆうこ) 次回は意見交換のために、大臣自ら出て来て頂けるとありがたい。
【長生炭鉱に関する参考記事】
中国新聞 「放置された遺骨 長生炭鉱水没事故から82年」   
長周新聞 「海底に眠る183人の遺骨返還を」
Dialogue for People 「長生炭鉱水没事故―その遺骨は今も海の底に眠っている」
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