11月17日(金)消費者問題に関する特別委員会での質疑

国会活動(委員会議事録)

ギャンブル依存症対策について

そこで、質問です。
まず、政府のギャンブル依存症に対する現状認識と、そしてギャンブル依存症対策について具体的にどんな取組をなさっているか、是非とも取組の様子をお答えください。

○政府参考人(江浪武志君) お答え申し上げます。
政府では、平成三十年に公布、施行されましたギャンブル等依存症対策基本法に基づきまして平成三十一年にギャンブル等対策推進基本計画を作成いたしまして、平成四年にはこれを見直しをしております。関係省庁が一体となってギャンブル等依存症対策を総合的かつ計画的に進めてまいりました。
具体的には、各都道府県におきますギャンブル等依存症対策推進計画の策定、相談拠点や専門医療機関等の整備、予防教育や普及啓発活動、アクセス制限の強化など、関係事業者の取組などの対策を推進してまいりました。
一方で、最近では公営競技におけますインターネット投票や違法なオンラインカジノなどオンラインによるギャンブルの利用が増加をしておりまして、ギャンブル等依存症対策の観点からこうした状況の変化を踏まえた対策の推進が必要であると考えております。
具体的には、アクセス制限や購入限度額設定などをより一層周知するため、公営競技のインターネット投票サイトにおいて視覚的な注意喚起表示を導入したり、オンラインカジノを含む違法なギャンブルなどの取締りや、オンラインカジノが違法であることの周知を強化するなど、関係省庁とも連携しながら必要な取組を推進してまいります。
以上でございます。(発言する者あり)

○委員長(石井章君) 済みません、挙手をして発言をお願いします。

○大椿ゆうこ君 済みません。
皆さんにお配りしております資料一を御覧ください。これは大阪府で出された資料です。
昨年十月、大阪府は、IR、カジノを見据えてギャンブル依存症対策を推進する条例案を全国初、可決、成立しました。ギャンブル依存症の推進には異論がありません。現在も多くのギャンブル依存症の方がいらっしゃることを考えれば、この対策は必要でしょう。しかし、片方でギャンブル依存症を増やす可能性が非常に高いカジノを誘致しておいてギャンブル依存症対策をするというのは、マッチポンプも大概にしろという思いは否めません。
この資料で、IR事業におけるギャンブル等依存症対策の取組についてはA4の半分しか書かれていません。依存症対策のトップランナーを目指すと大きなことを書いている割には、中身はほぼありません。
大阪のIR、カジノ誘致は国が認可したわけですから、この中身がほぼない大阪のギャンブル依存症対策について、国の見解をお尋ねします。これで本当に依存症対策のトップランナーになれるのかどうか、どうぞ国の見解をお聞きしたいと思います。

○政府参考人(飛田章君) お答え申し上げます。
IR整備法におきましては、依存防止対策について、入場回数制限ですとか入場料の徴収、本人、家族の申出による利用制限を始めまして重層的かつ多段階的な対策が定められております。
大阪のIR区域整備計画におきましては、依存防止対策といたしまして、これらのIR整備法に基づく措置に加えて、大阪依存症センターの設置、ICTの活用による厳格な入退場管理を始め、MGMの経験を踏まえた対策などを講ずることとされております。
その上で、区域整備計画の認定に当たりましては、IR整備法の制度趣旨を踏まえ、日本人の依存防止対策を始めとして実効性を持って取り組むことなどを求めたところでございます。
大阪の計画に基づく依存防止対策が確実に実施されるよう、計画の実施状況評価等において取組状況を十分確認してまいります。

○政府参考人(江浪武志君) 失礼いたしました。
先ほどの私の答弁の中で、法律に基づく基本計画の見直しにつきまして、平成四年に見直したと申し上げてしまいました。正しくは令和四年でございましたので、おわびして訂正を申し上げます。失礼いたしました。

○大椿ゆうこ君 重層的な対策ということでしたけれども、そもそも入場制限をするといっても、六千円の入場料、これ微妙ですよね。これくらいだったら勝てばもうかるんじゃないか、取り返せるんじゃないかという金額。そして、週に三回、そして月に十回来てもいいよと言っている。これが本当に依存症を防止するための対策になるのかどうかということには強い懸念があるということをお伝えしておきます。
次に、ギャンブル依存症の危険性の周知徹底の在り方についてお尋ねします。
現在、ギャンブル依存症問題に取り組んでいる多くの識者、IRによって、IR、カジノによってギャンブル依存症患者が増えるだろうと指摘をしています。
皆さんにお配りしている資料の二枚目を御覧ください。
ギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子代表のインタビューを掲載した記事です。七年後、つまり大阪万博を開業しようとしている二〇三〇年ですね、私は今以上にギャンブル依存症患者が増えると思いますと発言をされています。IR、カジノがオンラインカジノや闇カジノのゲートウエーになることも指摘をされています。IRを開業させるなら、行政や警察は違法なオンラインカジノや闇カジノを一掃する責任があるのではないかとも指摘しています。
また、私は今回、ギャンブルの被害者、ギャンブル依存症、またギャンブルの被害に遭った方々の相談に応じておられる行政書士で、大阪いちょうの会事務局長次長の新川眞一さんからも直接お話を聞きました。彼は、新たな依存症被害を生む賭博場、イコール夢洲カジノ計画を断念することこそが最大の依存症対策であると訴えており、私も全く同じ考えです。少なくとも、消費者保護の観点からも、ギャンブル依存症の危険性を周知徹底し、ギャンブル依存症対策の体制を整備することが大変重要だと考えます。
政府や自治体が連携して取り組む必要があると考えますが、医師免許を持っておられる自見大臣、これまで医師として依存症を抱えている方との接点もあったのではないかと思います。そういった医師としての視点も踏まえて、決意と今後の具体的な取組についてお尋ねします。

○国務大臣(自見はなこ君) ギャンブル等依存症につきましては、国民、消費者に広く周知啓発していくことは非常に重要であると考えてございます。
消費者庁におきましては、消費者庁ウェブサイトの中に特設ページを設けるとともに、関係省庁等とも連携をいたしまして、啓発用の資料を作成をいたしまして、そして配布、公表するなど、各種の啓発普及活動を努めているところでございます。
引き続き、関係省庁と連携をいたしまして、ギャンブル等依存症対策に取り組んでまいりたいと考えております。(発言する者あり)

○大椿ゆうこ君 不慣れで済みません。申し訳ございません。
昨年の七月、カジノの是非は府民が決めるとして、住民投票の実現を求め、大阪府民が二十一万百三十四筆の署名を短期間で集めましたが、大阪府議会はあっさりこれを否決しました。大阪都構想の住民投票は市民が頼んでもいないのに二回も実施をしましたが、府民が適正な方法で署名を集め、この問題は私たち府民に関わることだから住民投票で決めさせてくれと訴えたのにもかかわらず、一顧だにしませんでした。これが今の大阪の政治の現状です。
私たちが街頭に立ち、このIR、カジノの問題を訴えていると、とりわけ女性の方から声を掛けられることが多いんです。ばくちはあかんと、ばくちは嫌いやねんと、維新支持やけどこれだけはあかん、そういう声をたくさん聞いてきました。
ギャンブル依存症の家族を持った方々は、この住民投票実現に向け、自分の経験を人の前で話し、そしてこのギャンブル依存症の危険性を伝えてこられました。ある方は、自分が子供だったとき、親がパチンコ依存症、そのため、学校から帰ってきても家のドアが開いていない、暗くなるまでずうっとずうっと玄関の前で待ち続けていた、そんな日が毎日毎日続いた、こんなふうにネグレクトされる、ギャンブル依存症でネグレクトされる子供をもうつくらないでほしい、私のような人をつくらないでほしいと、大阪府庁の前で泣きながら訴えておられた姿を私は忘れることができません。

また、大阪の港湾労働者の方々は、大阪の港湾は商業の港やと、ギャンブルの港にはさせへん、そういうふうに言っていらっしゃる方もおられます。
ギャンブル依存症の家族の方々の思い、自見大臣も、もしかしたら医療現場に立たれる中で聞かれてきた経験もあるのではないかというふうに思います。
このIR、カジノに反対すると、何でパチンコは反対せんのやという問いがいつも返ってくるんです。でも、IR、カジノと決定的な違いは、やっぱりパチンコとの決定的な違いは、国や大阪府、この自治体が、皆さんの税金を多額につぎ込んで、ギャンブル依存症患者を増やす可能性が高いカジノを積極的につくるというところです。それが本当に私たちが担う政治の仕事なのかと。ギャンブル依存症を増やす可能性がある、こういう事業を進めていくことが本当に私たちの仕事なのかということをもう一度問い直す必要があるのではないかと思います。
最後に、大阪を政府やそして維新の会の実験場にしないでほしい、そこに人々の暮らしがあるんだ、依存症を増やすようなカジノには反対する、その思いをお伝えして、今日の質問を終わります。
ありがとうございます。

○委員長(石井章君) 大椿ゆうこ君の質問を終了いたします。

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