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第212回臨時国会では大椿ゆうこは厚生労働委員会に所属することになりました。
発質疑の議事録です。
厚生労働委員会での大椿ゆうこ議員の質疑
初めての質疑は2つ!
・女性の非正規労働者の拡大の原因
・労働委員会の救済命令履行義務
冒頭
○大椿ゆうこ君 立憲・社民会派、社民党、大椿ゆうこです。本日は質問の機会をいただき、どうもありがとうございます。
就職氷河期時代に社会に出、非正規労働を掛け持ちしながら暮らし、有期雇用を理由に雇い止め、解雇に遭い、労働組合に加入し、労働委員会を中心に約四年間闘いましたが、職場に戻ることができなかった当事者です。まさに、岸田首相が所信表明演説の中で述べたコストカット最優先の三十年間をもがきながら生きてきた世代です。ロストジェネレーション、非正規労働者の私たちはずっと政治に絶望してきました。政治の中で捨ておかれてきた存在といっても過言ではないでしょう。この場に立つことができた首を切られた非正規労働者の当事者として、そんな人たちの声をしっかりと政治に届けていきたいと思っています。
十一月七日、御挨拶させていただいた武見大臣から、直接、正規雇用は国の方針でもあるからというお言葉をいただきました。本来なら正規で雇うべき仕事を非正規で賄い、非正規を選んだのは自己責任だと突き放し、いかに人を安く使うか、いかに簡単に首を切れるか、いかに闘う労働者の声を封じ込めるかということに費やされてきた日本の労働政策を改め、武見大臣始め、ここにいる委員の皆さんとともに、労働者の使い捨てを許さない、そんな社会の実現のために私も努力していきたいと思います。
女性の非正規労働者の拡大の原因について
そこで、武見大臣に質問です。
十一月九日、なぜ一九九〇年以降、我が国で非正規雇用が拡大したのかという立憲・社民会派石橋議員の質問に対し、女性の労働への参加、さらに健康な高齢者の参加といったようなものがあって、就労参加が進む中で労働者のニーズにより増加してきた面があるとお答えになりました。あたかも女性が非正規労働を望んだから非正規労働が増えてきたんだというように私たちには聞こえたんですね。
大臣がイメージされている非正規雇用の拡大を求める女性とは一体具体的にどのような女性なのか、大臣のイメージされた女性像をちょっとお話ししていただければと思います。大臣にお願いします。
○国務大臣(武見敬三君) 女性の就労参加が確かにここのところしっかりと進んでいて、非正規雇用労働者、あっ、正規雇用労働者、非正規雇用労働者共に女性の就労者数が増加をしています。このうち、非正規雇用労働者については、自らのライフスタイルに合わせてパートタイムを選択する方もいらっしゃいます。そして、労働者のニーズにより増加した面もあると考えられます。
具体的には、女性の非正規雇用労働者が非正規雇用を選んだ主な理由としては、自分の都合の良い時間に働きたいからというふうにお答えになった方が約四割、あっ、約三割と最も多くなっております。それから、家計の補助、学費等を得たいから、それから家事、育児、介護等と両立しやすいからという理由が続いております。
そしてまた、一方で、正規の職員、従業員の仕事がないからという理由で非正規雇用を選んでいるいわゆる不本意非正規労働者の女性も確実にいらっしゃいます。その割合は減少傾向にあって、二〇一三年の一四・一%から二〇二二年には七・七%になっております。
この非正規雇用労働者の多様な実態もしっかりと踏まえながら、特にこの不本意で非正規雇用労働者になっている方々の対策は、これは着実にしっかりと進めていかなきゃいけないなと考えます。
○大椿ゆうこ君 大臣の方から不本意で非正規労働者になっている人たちがいるという発言が出たことは一定評価させていただきます。
非正規労働者の数は約二千百万人、男性の約二割、女性の六割に近い労働者が非正規で働いています。非正規で働いている女性たちの背景は様々であるということを改めて大臣に理解していただきたいんです。
結婚をし、主な家計の収入を夫が担い、家事や育児や介護を中心的に女性が担いながら、年収の壁の範囲内で家計補助的に働いている女性というのはもう旧態依然となっているのではないかと思います。就職氷河期で正規の仕事がなかった、一度非正規になったら正規の仕事を得るのは難しかった、病気や障害で長時間の労働が難しい、シングルマザーや学生、様々な背景があります。私を含め、正規で働きたいと切望しながら不本意にも非正規労働で働いてきた人たちがいます。また、年収の壁があるために正規で働きたくても非正規でしか働けないという方も多いでしょう。それを純粋に女性のニーズ、労働者のニーズと言い切れるでしょうか。
私は、政治は労働者のニーズという言葉で都合よく言い換えてきたのではないかというふうに思っています。非正規雇用の拡大は、女性たちのニーズではなく、構造改革の名の下、労働者派遣法を規制緩和し、女性を安価で使い捨て可能な労働力として扱ってきた政府、企業等の政策の誤りではないでしょうか。まずはそこの反省に立たなければ、非正規雇用の拡大も、そして少子化に歯止めを掛けることもできないと私は思っています。異次元の少子化対策は異次元の雇用対策、これしかないと私は考えています。
二ページからの資料は、後ほど、皆さん、お時間あったらお読みください。約四十年後には、就職氷河期世代を含めた六十五歳以上の単身女性のおよそ半数、約二百九十万人が生活保護レベル以下の収入になるという調査もあります。非正規問題を放置することは、将来の社会保障制度の破綻につながります。
大臣、女性非正規労働者、様々な立場の人たちがいらっしゃいます。その認識を既にお持ちいただきだとは思いますけれども、引き続き非正規雇用の問題の解決に向けて共に頑張っていければと思っていますので、よろしくお願いいたします。