芸能従事者にも労働法の保護を
大椿ゆうこ/ 先だって成立した労働安全衛生法の改定案では、個人事業主に対しても安全衛生対策を推進することが盛り込まれている。実質的には労働者のような働き方をしていても、現状の労働法制の保護の外に置かれている人たちはたくさんいるが、そうした方々をどう保護するかが問われている。芸能・芸術分野で働く人の中には、雇用されている労働者は僅か5.4%しかおらず、94.6%はフリーランスと言われている。圧倒的多数の芸能従事者が労働法の保護の外側で働いているというのが現状だが、大臣はこの現状をどのように認識されているか?
福岡大臣/ 文化庁の調査によると、文化芸術活動に携わる方々はその多くがフリーランス等として活動されていると承知している。そのため、取引上のトラブル、ハラスメント、長時間の拘束など、様々な課題があり、働き方に応じた適切な保護がなされることが重要と考えている。なお、契約の形式や名称にはかかわらず、労働基準監督署に対し、実態として労働基準法が適用される働き方をしていると相談や申告があった場合には、事実確認を行い、労働者性が判断されれば、労働基準法等に基づく必要な保護を図っている。
大椿ゆうこ/ 2021年4月1日、労災保険の特別加入(※一人親方や中小企業の経営者等、通常労災保険の対象にならない人が、年に一定の保険料を支払えば労災保険の給付を受けられるようになる制度)の対象拡大、及び2024年11月に施行された所謂フリーランス新法により、芸能従事者も労災保険に特別加入できるようになった。日本芸能従事者協会のアンケートによれば、仕事先で就業時間を把握されていないという人が65.9%、長時間就業にならないルールがないという人が79.6%となっている。芸能・芸術分野で働く方々の労働時間の把握は大変難しいと思うが、過労死等の事案に対する労災認定をするためには非常に重要である。これからフリーランスの芸能人の特別加入もますます増えてくると思うが、その人たちの労働時間をどのように把握しようと考えているか。

政府参考人[厚労省]/ 特別加入者である芸能従事者に係る過労死等の労災認定の調査に際しては、雇用される労働者の場合と同様、請求人ご本人・ご家族・同一現場で働いていた方からの聴取や、メール送受信記録などの関係資料を収集するなどにより、就業時間を特定することとしている。

大椿ゆうこ/ 日本芸能従事者協会のアンケートでは、70.7%が報酬より経費が上回るときがあると回答した。本来であれば、経費は発注者側が支払うか、あるいは報酬・経費を別々に支払い、受注者側の持ち出しがないようにすべきではないか。「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン」で契約のひな形が出されているが、これをしっかり周知し、報酬と経費がそれぞれ独立して払われるよう徹底すべきと考える。また、報酬決定の根拠もしっかり書面で示させ、労務費として適正な額が支払われていることを確認できるようにすべきではないかと考えるが、ガイドラインを出した文化庁はどのような見解か。
政府参考人[文化庁]/ 芸術家等の皆様が適正な報酬を受け取ることは、安心・安全な環境での持続可能な文化芸術活動の実現を図る上で大変重要であると考える。業務内容や報酬等が契約上十分に明示されず、芸術家が不利な条件の下で業務に従事せざるを得ない状況が生じていることなどが懸念されたことから、ご指摘のガイドラインを2022年度に公表した。本ガイドラインは、契約内容の明確化と、それを通じた取引の適正化を促すものであるため、報酬の算定基準を具体的に示すものではないが、芸術家等が適正な報酬を得るために、契約において明確にすべき基本的な考え方を示している。具体的には、報酬の決定に当たって、業務内容や専門性等に応じた適正な金額となるよう、発注者と受注者が十分に協議する必要があること、受注者が業務を実施する上で必要な諸経費についても、発注者と受注者が十分に協議し、それぞれが負担する経費を明確化し、契約書に記載しておく必要があることなどを記載している。文化庁としては、引き続き、このガイドラインの内容に関する周知啓発や文化芸術関係者に向けた研修会の実施等を通じて関係者の理解促進に努めていく。

