キャンプ座間(在日米陸軍)
相模補給廠を後にして、車で県立相模原公園・相模原麻溝公園へ。1992年の全国都市緑化フェア跡地に整備された公園にある「グリーンタワー」の展望台から、公園のちょうど南側にあるキャンプ座間を見下ろしました。とはいえ、南北2㎞以上もある基地の全貌は到底見えず、良く晴れたこの日でも目視でわかるのはキャスナー飛行場(米軍ヘリが使用する580mの滑走路)と、併設する管制塔・格納庫程度でした。
公園から車でキャンプ座間の近くへ。フェンスのすぐ近くには公園や市民プールがあり、遊びに来た親子連れの方もいらっしゃいました。キャンプ座間はもともと日本陸軍士官学校だったところを米軍が接収して使用しており、在日米陸軍司令部が置かれています。フェンス越しに司令部の立派な建物の他、スクールバス・リムジンバス(キャンプ座間と成田空港とを結ぶ)を見ることが出来ました。これらの施設・交通手段も、税金を原資とする「思いやり予算」で賄われています。ちなみに、キャンプ座間には在日米陸軍に加えて陸上自衛隊もおり、2007年までは朝鮮国連軍後方司令部(在日米空軍横田飛行場に移転)も置かれていたので、基地内には米国旗(その下の黒い旗は、戦争捕虜・行方不明者に表敬する旗)・日本国旗・国連旗が掲揚されています。
沖縄ほど目立った被害が相次ぐ訳ではなく、大きな反対運動を組織しづらいとのことでしたが、米軍ヘリの騒音や、基地内のゴルフ場から近隣の公園・学校にゴルフボールが「降ってくる」被害などもあるとのこと。案内して下さった金子さんも、「キャンプ座間への米陸軍第1軍団の移駐を歓迎しない会」(※ラムズフェルド・元国防長官が「住民に歓迎されない所に基地は造るべきではない」と発言したのにちなんで名付けたそう)を作り、基地被害の実態を伝える活動をされています。また、「座間キャンプ前」バス停では、毎月「バスストップから基地ストップの会」が基地反対の運動を続けられているそうです。
厚木海軍飛行場
続いて厚木海軍飛行場へ。綾瀬市・大和市・海老名市にまたがる、面積約5万㎡の広大な基地です。旧日本海軍の航空基地(首都防衛の要だった厚木飛行場は、マッカーサー元帥が降り立った場所です)だったところを米軍が使用しており、中には全長約2400メートル×幅約45メートルの滑走路があります。滑走路は自衛隊管理区域で、航空管制も海上自衛隊が行っています。ちなみに、厚木飛行場に隣接する日本飛行機厚木工場は、米軍オスプレイの定期機体整備を行っています。
米軍の航空訓練の爆音被害が深刻で、綾瀬市・大和市・海老名市・相模原市・座間市・町田市等、周辺の複数自治体の住民を原告とする爆音訴訟が五次にわたって提起されています。2018年3月に空母艦載機が岩国基地に移駐された結果騒音が減少したとして、国は住宅防音工事の助成や住宅移転補償の対象とする騒音区域を見直そうとしています。しかし、夜中も含めた爆音は大きくは減っていないとのことで、地元からは騒音区域ではなく騒音評価方法を見直すようにとの声も上がっています。
また、格納庫のシステム誤作動でPFASを含む泡消火剤が基地内の調整池から蓼川に流れ込む事件も起きました。基地はあまりに巨大で、傍からでは全体を見渡すことが出来ません。弾薬庫の周辺は木々が鬱蒼と植えられ、基地内を隠しているかのようです。日米両軍の一体化が進む中、基地の中で何が行われているのか、不安が募ります。