2月7日(水) 「外交・安全保障に関する調査会」 第1回

その他

ガザ攻撃とAIシステムの関係は?

最初の質問は岩本参考人に対して。イスラエルがガザ攻撃における標的の選定にAIシステムを使用していることが民間人の被害が極端に多くなっていることの背景だと指摘されていることを踏まえ、LAWSに関する国際的なルールが作られる前に(※LAWSの定義や、新たな法規制を設けることの是非をめぐって国際的な合意がとれておらず、LAWSを規制する国際法はまだできていませんが、2023年10月に国連総会でLAWSを「世界の安全保障に与える影響を懸念し、対応が急がれる」とする決議が賛成多数で採択されました)、現実のほうが自立型兵器の使用へと進んでいる現状について参考人の受け止めを伺いました。

岩本参考人からは、イスラエル軍によるガザでのAI兵器の使用については、「ビッグデータを処理し瞬時の判断を指揮官に与える幕僚的なシステムは存在するが、AIがどれくらい標的の選定・追尾・攻撃に関与しているかはわからない」との答えでした。加えて、AI使用の有無にかかわらず、ガザ攻撃は「人口密集地における爆発性兵器」の使用という問題であるが、これについては文民保護強化に係る政治宣言が採択されており、その支持表明国を増やして将来的に条約にすることも考えられるのではないか、とのご見解を述べられました。

日本政府も無人武器を開発!?

続いて、小笠原参考人に対して。日本政府は「人間の関与が及ばない完全自律型の致死性兵器の開発を行う意図はない」との立場を表明しているものの、2022年12月に閣議決定された安保三文書のうちの「国家防衛戦略」IV(3)には、「無人アセットをAIや有人装備と組み合わせることにより、部隊の構造や戦い方を根本的に一変させるゲーム・チェンジャーとなり得ることから、空中・水上・水中等での非対称的な優勢を獲得することが可能」であり、「無人アセットを情報収集・警戒監視のみならず、戦闘支援等の幅広い任務に効果的に活用する」と書かれています。日本が活用を検討している「無人アセット」とLAWSとはどのように違うのか、質問しました。

小笠原参考人からは、無人アセットの多くは人が遠隔操作をすることで運用されるので、完全な自律性を持ったLAWSとは異なるとのご回答でした。

LAWSは非人道的な兵器か?

最後の清水参考人に対しては、人の意思を離れて人を殺傷する可能性のあるLAWSは、対人地雷やクラスター爆弾と同様に、区別・予防・均衡性・軍事的必要性という、国際人道法の敵対行為に関する4原則に反する非人道的な兵器になりえるのではないかという憂慮を伝え、長年地雷廃絶に献身されてきた参考人の見解を尋ねました。

清水参考人は、「AIは無差別的ではないという議論もあるが、それも確証があるわけではなく、実際にLAWSが配備され犠牲が生じる前に止める予防的措置を築く必要がある」と回答されました。

質問を終えた大椿ゆうこは、「武力で平和は作れない」との社民党の姿勢を改めて強調し、LAWSのような急速に発展する分野についても専門家のご見解を伺いながら、国会論議に取り組んでいきたいとの決意表明で締めくくりました。

タイトルとURLをコピーしました