3月8日(金) 能登半島地震被災地視察1日目~七尾市~

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全港湾七尾支部の皆さんと

3/8 (金)~3/10 (日)の3日間、社民党・服部良一幹事長とともに、元日の地震により甚大な被害が出た能登半島を視察しました。視察の様子を4回に分けてご報告します。

3月8日(金)、最初に訪れたのは七尾市です。七尾港を拠点とする全日本港湾労働組合(以下、全港湾)七尾支部を訪ねました。

中国人慰霊碑の再建を

全港湾七尾支部を訪れる前に、社民党員であり、「七尾強制連行への戦後補償を実現する会」代表の角三外弘(かくみそとひろ)さんが、七尾港の一角に建立された、「一衣帯水の碑」と「中国人殉難烈士慰霊碑」を案内してくれました。社民党には、全国各地にこういった取り組みをされている党員がいます。

第二次世界大戦末期、中国人399人が七尾港に連行されました。荷役業者らの管理下、港湾の荷役業務など重労働を強いられ、15人が死亡、栄養失調で64人が失明しました。元作業員と遺族らは2005年、国と企業に損害賠償などを求め金沢地裁に提訴を行いました。地裁では、強制連行と労働の事実、国と企業の安全配慮義務違反などは認められましたが、別の裁判で最高裁が「日中共同声明で中国人個人の請求権は放棄された」と判断したことを踏襲し、請求を棄却。高裁もそれを支持し、2010年に最高裁が上告を退けました。その反省と謝罪のため、1977年に七尾日中友好協会が建立した「一衣帯水の碑」、その後、福建同郷会が建立した「中国人強制連行殉難烈士慰霊碑」を訪れました。地元の方が守り継いできた碑でしたが、今回の地震によって「一衣帯水の碑」が倒れ、大破してしまいました。どうやって再建するか、まだ目処は立っていません。

「群馬の森」の朝鮮人慰霊碑が、群馬県の「代執行」により撤去・破壊されるなど、日本の加害の歴史を抹消しようとする動きが各地で起きています。「加害の歴史を語り継ぐ慰霊碑を、ちゃんと再建しなければならない」「地震を口実にして碑を消し去るようなことがあってはならない」と角三さんは強調されました。

七尾港 液状化で港湾労働が壊滅的

その後、全港湾七尾支部を訪ねました。七尾港は「一港一社」制で、組合員は七尾海陸運送株式会社に雇用されています。七尾港には北陸電力七尾大田火力発電所があり、仕事の90%以上が石炭の荷役作業です。

組合員さんの案内で七尾港の被災状況を見て回りました。埋め立てによって作られた港は液状化であちこちにひび割れや段差が発生、耐震工事を済ませた護岸1つを除けば、全く船を着けられない状態になってしまいました。

地震後、港が使えなくなると仕事はゼロになり、1・2月は売上が全くなかったとのこと。耐震化を済ませていた護岸に、入浴が出来る被災者休養施設としてチャーターした民間フェリーが碇泊していたことも理由のひとつでした(現在は別の場所に移動)。会社は内部留保を取り崩しながら労働者の雇用を維持し、休業手当を支払っているとのことですが、全港湾の組合員からは「雇用調整助成金が休業手当支払額の4/5しかカバーしないのは困る。全額出すようにして欲しい」「国から、返済不要な支援金が欲しい」「厚生労働委員なら、ぜひこの問題を伝えてほしい」と切実な訴えがありました。

当初被災地に入っていた自衛隊がどんどん撤退し、被災者支援の民間への移管が進んでいます。今は、こうしたフェリーへの給水等を請け負う(七尾港の配管が壊れたため、富山の方から水を運んで給水しているそう)ことで収入を多少確保することができていますが、「港が復活しないと収入はゼロ。ともかく働きたい」との願いを度々口にされました。

港の再建へ

古くから貿易港として発展した七尾港は、北米からの材木の輸入・加工、中古車の輸出も盛んでした。港にはずらりと並んだ中古車の光景は印象的でした。ロシアによるウクライナ侵攻が始まる前は、ロシア向けに輸出されていた中古車。今度は、中央アジアへ向けた輸出が始まろうとしています。仕事がない厳しい状況に置かれた彼らにとっては一縷の望みです。地震に加え、戦争が、被災地の産業に影を落としています。港の皆さんは、新たな取引先の確保のため奮闘中。

被害の少なかった護岸には鉄板を敷き、港湾荷役を再開出来るような準備も始まっています。港は復興のための物資の搬入・搬出拠点であり、地域経済の立て直しのためにも重要な役割を持っています。

七尾港の被害については、マスコミの注目も不十分で、港湾労働者の方からは「復興から取り残されるのではないか」との不安も聞かれました。営業出来ない状況が長引けば、荷主は七尾港を敬遠するようになり、七尾港の経営はますます窮地に追い込まれるとのことです。一日も早く港が通常営業に復帰し、「働きたい」という港湾労働者の皆さん思いをしっかりと受け止め、国会でも伝えていきます。

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