【報告・解説】5/13(月) 決算委員会(農林水産省関係)で質問!(オリパラ豚肉問題・食料供給困難事態対策法案)

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5月13日(月)は決算委員会で質問に立ちました。決算委員会は参議院のみに置かれる常任委員会で、各省庁の決算を審査します。予算委員会に比べて注目度は低いですが、決算委員会にも閣僚の出席が求められ、前年度の決算に直接絡む事項のみならず、各省庁の事業に関連することを幅広く質問することが出来ます。この日は農林水産省・文部科学省・国土交通省の2022年度予算の審査が行われ、大椿ゆうこは坂本農林水産大臣に、会計検査委員が不当事項と指摘した「オリパラ豚肉問題」の他、「花農家に芋を作らせる!?」と話題の「食料供給困難事態対策法案」について質問しました。

「オリパラ豚肉問題」については、「架空の契約書を作るような国になり下がったのか!」という危機感を、また「食料供給困難事態対策法案」については、「農家に失礼だ!」との問題意識をぶつけました。

質疑のハイライトをご紹介します(※発言は適宜要約・省略しています)。質疑全体は、参議院インターネット審議中継からご覧いただけます。

農水省、虚偽の契約書を作成!?

大椿ゆうこ/ 会計検査院の2022年度決算報告において、農水省が行った東京オリンピック・パラリンピックの選手村で提供する国産豚肉の調達等に関わる契約が、報告で最も重大な「不当事項」にあたるとの指摘を受けた。農水省は、2021年2月、選手村で料理を提供するフードサービス業者に豚肉を納入するスターゼン社と、選手村における日本産食材提供による魅力発信業務の契約を結んだ。農水省とスターゼン社は2020年11月頃、同社がフードサービス業者への納入を予定していた外国産豚肉を国産豚肉に切り替え、その国産豚肉の調達・加工・保管・納入を行うこと、対する農水省は費用の増額分を支払うことを口頭で合意した。本来その合意に基づいた契約書を交わすべきところ、実際は架空の数量の国産豚肉を調達・加工・保管するという虚偽の契約書が取り交わされていた。当初の合意内容に基づけば年度をまたんだ契約になるため、年度ごとの2件の契約書を作成する必要があるが、農水省は、務全体が単年度で完了することにすればそのような煩雑な手続を取る必要がないと考え、契約の目的・契約金額・履行期限の全てが口頭合意の内容と異なる契約書を交わした。契約書の内容を検査する検査職員は契約書が虚偽だと認識していたにもかかわらず、農水省は2021年4月に契約金額約1914万円全額をスターゼン社に支払ったことが、今回不当事項とされた内容である。農水大臣はこの事案をどのように受け止めているか? どのように責任を取ろうと考えているか?

↑会計検査院「令和4年度決算検査結果報告」より

坂本哲志農林水産大臣/ 当時、非常に慌ただしい環境にあったとは思う。オリンピック・パラリンピックが1年延期され、元々18トンの外国産豚を使う予定だったのが、急遽国産豚11トンを使うことになった。予算措置がされたのは当初の大会開催年である2020年度であり、急いで契約をしなければならなかった。虚偽の契約書を取り交わしたことは、会計法令に照らして著しく適正さを欠いていたと認識し、重く受け止めている。再発防止の徹底が重要と考えているので、省内に対して法令遵守についての職員の意識改革や知識向上を図るための通知を発出した。また、全職員を対象とした研修において今回の例を取り上げ、会計法令の遵守の徹底を図っている。

大椿ゆうこ/ 税金を扱う職員が、2つの契約書を作るのが面倒だと言って虚偽の契約書を作ってしまうことの軽率さに驚きを禁じ得ない。予算の単年度主義の原則に従えば年度ごとに契約を行わなければならないが、農水省は予算の単年度主義についてどのような認識を持っているか?

民間企業では、年度をまたいでも同じ事業であれば一つの契約書を結ぶことで事足りますが、国や地方公共団体に関しては、各年度について予算を議会で審議し、それに基づいて予算執行することが原則となるため、契約書は原則年度単位で結ばなければなりません。市民が民主的に選んだ代表者の議論によって予算を執行する財政民主主義の実現のため、大切な原則です。

坂本農水大臣/ 国民の税金を使う作業なので、年度単位でしっかりと会計処理をするという、会計処理に対する厳しい姿勢を持っておかなければいけないと考えている。その辺の研修・教育をもう一度しっかりとやっていきたい。

大椿ゆうこ/ 職員は財政単年度主義について理解していたか? 焦っていたとはいえ、それを覆してはいけないのではないか?

政府参考人[農水省]/ 財政単年度主義については理解していたと思うが、オリパラの延期に伴い国産豚を使うという企画に変わってしまった。その企画自体は適切だったものの、それに伴う修正に職員がついていけなかった

大椿ゆうこ/ 職場の実態はどうなっているのか? 「こんなことをしてはいけない」と横から忠告する先輩はいなかったのか?

政府参考人[農水省]/ 担当者は一人だったが、管理職はついていた。しかし、適切な手続きをきちんと指導することが出来なかった

大椿ゆうこ/ 職員は財政単年度主義だということは十分に分かっており、担当者は一人でも周囲にサポートする管理職もいた。しかしながら、結果として虚偽の契約書を交わすことに至った原因は何と考えるか?

坂本農水大臣/ 非常に慌ただしい環境・条件にあったことは事実だと思う。オリパラが延期され、豚肉が国産に切り替えることが決められたが、予算措置は大会開催年である2020年度とされていた。そうのため、本当は二か年度で処理しなければいけないのを、単年度と偽ってしまった。慌ただしい環境ではあったが、緊張感あるいは法令遵守の精神が足りなかったということに尽きると考えているので、しっかり反省し、研修・教育、そして緊張感・法令遵守を徹底していきたい。

大椿ゆうこ/ そもそも契約書の作り直しが必要になったのは、元々スターゼン社がフードサービス事業者に外国産豚肉を納入する契約を結んでいたところ、それを国産豚に変更することにしたためである。また、会計検査院の報告の中では、不当事項とはされていないものの、食材の産地表示が確実に行われるのかを確認することなく契約を結んでおり、実際選手村では産地表示が行われない状況で提供されていたとも指摘されている(報告p.563)。大会終了後に関係省庁連絡会議のホームページで産地を公表したということだが、全て日本語で、国産豚肉を世界にPRするという当初の目的に適ったものとは到底言えないと考える。国産豚肉の魅力を世界に発信するという目標が大会企画当初からしっかりと決められ、共有・周知されていれば、外国産豚肉の納入を前提にした契約が結ばれたり、大会期間中に産地表示を行わない状態で料理が提供されたりというようなことはなかったのではないかと考える。今後も国産品のPRを農水省を挙げて行うことはあると思うが、再発防止のためにどのような策を講じるつもりか?

政府参考人[農水省]/ 国産豚肉の産地表示については、当初政府の中ではきちんと表示することを想定をしていたが、大会組織委員会との意思疎通が不十分で、選手が利用するメインダイニングでは使用食材が多岐にわたり、食材の産地をリアルタイムで表示するのが難しいと指摘された。その結果、大会期間中、国産の表示がなされなかった。今後は、どのような状況においてもきちんと意思疎通を図り、組織としての意思を明確にすることで、再発防止を図っていきたい。

大椿ゆうこ/ 東京オリンピック・パラリンピックには様々な問題があり、場当たり的な対応に追われたのはこの豚肉問題だけにとどまらないのではないかと感じる。本件に関する資料を読みながら、森友学園問題を思い出した。あの時も、「辻褄合わせのために国が公文書の改ざんまでするのか」という衝撃が、人々の間に走ったと思う。豚肉問題についても、それに通底するものを感じる。「ばれなければ良い」「これぐらい裏で書き換えても大丈夫」みたいな軽薄さ、規律が失われ倫理観が欠如しているというということを、公文書を改ざんしたり、架空の契約書を作ったりする今の国の状況を見ていて感じる。農水省がやっていることは、他省庁でもやっているんじゃないですかという疑いを掛けられてもおかしくない。大臣には改めて、このようなことは二度と起こさないという決意を込めて、再発防止策を話して頂きたい。

坂本農水大臣/ 食に関しては色々な不手際があったと思う。私が聞いているのでは、大会組織委員会との横の連絡が欠けていた。大会組織委員会からすれば、アスリートの皆さんに食べていただく豚は脂身が少ないことを最優先に考えて外国産にした。しかし、日本で大会を開くんだから日本の豚をしっかり売り出そうということで、国産に切り替えた。役所としては会計処理を厳格にやらなければいけなかったと考えており、今後法令遵守をしていきたい。

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