6/12(水) 大椿ゆうこの質問がカタチに~2022年度決算「内閣に対する警告」総員起立で議決~

国会活動(委員会議事録)

6月12日(水)、参議院本会議で2022年度決算の審査に際して決算委員会が議決した「内閣に対する警告案」が総員起立で議決されました。

憲法第90条1項は、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない」と定めています。決算審査は内閣の予算執行を監視するための大切なプロセスで、衆議院が予算の先議権を持つのに対し、参議院は決算審査を重視しています。

2022年度の決算審査を行った決算委員会は、以下4件の「内閣に対する警告案」を議決しました。

  1. 小林製薬の紅麹製品による健康被害について、被害発生から国への報告まで2カ月以上を要したために被害が拡大したこと。政府は機能性表示食品の製造過程における安全性の確保や健康被害報告の厳格化等、再発防止に万全を期すべきこと。
  2. 東京オリンピック・パラリンピックの選手村で提供された豚肉の納入に係る契約を結ぶにあたり、農林水産省の職員が会計法令に違反して架空の請求書を作成したこと。政府全体の法令遵守意識に対する疑念を招いたことを重く受け止め、会計法令の遵守を徹底させるべきこと。
  3. 国土交通省が航空機の滑走路誤進入を防ぐ取り組みを行ってきたにもかかわらず、今年1月、羽田空港の滑走路上で日本航空機と海上保安庁機が衝突・炎上し、海上保安庁職員5人が亡くなる重大事故が発生したこと。政府は原因究明と実効性のある再発防止策を徹底するとともに、航空管制官の人的体制の強化・拡充を通じて、航空の安全・安心の確保に万全を期すべきこと。
  4. 2023年4月には宮古島沖で陸上自衛隊のヘリコプターが墜落し、今年4月には鳥島東海域で海上自衛隊のヘリコプター2機が空中衝突して墜落するなど、自衛隊のヘリコプター墜落による重大事故が近年相次いで発生していること。政府は事故原因を究明するのみならず、これまでの事故の教訓を風化させることがないよう、航空機の点検や教育・指導を徹底するとともに、操縦者の負担軽減のため必要十分な人員を確保して、安全管理に万全を期すべきこと。

このうち、2番目の「オリパラ豚肉問題」は、5月13日の決算委員会で大椿ゆうこが追及した問題です。詳しくはこちらのブログ記事でご覧ください。財政単年度主義に基づいて年度ごとの契約書を作るのが面倒だからと言って、架空の契約書をでっち上げた問題は、「政府全体の法令遵守意識に対する疑念を招いた」ものとして、会計検査院が指摘した不当事項全285件のでも、特段の警告の対象とされました。

警告を受け、岸田内閣総理大臣は、「これらの御決議の内容は、いずれも政府として重く受け止めるべきものと考えており、御決議の趣旨を十分に踏まえ、今後このような御指摘を受けることのないよう改善、指導してまいります」との見解を述べました。

内閣に対する警告

  1. 小林製薬株式会社が製造販売した紅麹原料を含む機能性表示食品の摂取により、死亡事例や入院事例など深刻な健康被害が多数発生したこと、消費者庁のガイドライン等では事業者が健康被害を把握した場合の報告義務や明確な報告基準が定められていないため、同社による被害把握から報告までに二箇月以上を要し、被害の拡大を招く事態となったことは、極めて遺憾である。政府は、規制改革の一環として導入され、事業者の責任において届出だけで機能性を表示できる制度の下で、国民の生命と健康を脅かす事態が生じたことを重く受け止め、製造過程における安全性の確保や健康被害報告の厳格化を図るなど、制度を抜本的に見直し、再発防止に万全を期すべきである。
  2. 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村における国産豚肉の提供に係る請負契約について、農林水産省の担当職員が年度ごとに業務を分割し二件の契約とする手続を煩雑であるなどとして、契約相手先との合意内容と異なる履行期限や架空の数量を記載した契約書を作成したのみならず、検査職員も事実と異なる検査調書を作成し、同省が契約金額全額を支払っていたことは、遺憾である。政府は、国の財政の基本原則である予算の単年度主義を軽視して、会計法令に違反し、著しく適正を欠いた契約手続を行い、さらに組織としても防止できなかったことにより、政府全体の法令遵守意識に対する疑念を招いたことを重く受け止め、職員の意識改革や知識向上を図るとともに、会計法令の遵守を徹底させ、再発防止に万全を期すべきである。
  3. 平成十九年に航空機による滑走路誤進入事案が相次いだことを踏まえ、国土交通省において再発防止に向けた取組を行ってきたにもかかわらず、令和六年一月、羽田空港の滑走路上で日本航空機と海上保安庁機が衝突、炎上し、多くの乗員乗客が巻き込まれ、海上保安庁職員五名が亡くなる重大事故が発生したことは、極めて遺憾である。政府は、公共交通機関として人々の移動やインバウンド政策を支える航空において、何よりも安全性が優先されなければならない中、重大事故により尊い人命が失われたことを重く受け止め、同様の事故を二度と発生させることのないよう、原因究明と実効性のある再発防止策を徹底するとともに、航空管制官の人的体制の強化・拡充を通じて、航空の安全・安心の確保に万全を期すべきである。
  4. 令和六年四月、鳥島東海域において海上自衛隊のヘリコプター二機が空中衝突して墜落し、搭乗員一名が亡くなり、いまだ七名が行方不明となっている事故が発生したが、五年四月にも宮古島沖で陸上自衛隊のヘリコプターが墜落して搭乗員十名全員が亡くなるなど、自衛隊のヘリコプター墜落による重大事故が近年相次いで発生していることは、極めて遺憾である。政府は、大切な隊員の命が失われる事故が繰り返されていることを重く受け止め、事故原因を究明するのみならず、これまでの事故の教訓を風化させることがないよう、再発防止に向けた航空機の点検、操縦者への教育、各部隊における指導を徹底するとともに、操縦者の負担軽減のため必要十分な人員を確保して、安全管理に万全を期すべきである。
タイトルとURLをコピーしました