【報告・解説】5/16(木) 厚生労働委員会で質問!(育児介護休業法改正案)

その他

5月16日(木)は、厚生労働委員会で内閣提出の「育児介護休業法及び次世代育成支援対策推進法改正案」についての法案審議が行われ、大椿ゆうこも質問に立ちました。政府は「男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにする」ことを謳っています。女性に偏っていた育児・介護の負担を男女で共有しようという理念には賛同しつつ、非正規労働者や、単身で出産・育児をするシングルマザーが本当に使える制度になっているか、細かく質問しました。

質疑のハイライトをご紹介します(※発言は適宜要約・省略しています)。質疑全体は、参議院インターネット審議中継からご覧いただけます。

長時間労働と性的役割分業 大臣の認識は?

大椿ゆうこ/ 5月1日はメーデーだった。その起源は1886年にシカゴで8時間労働制を求めて闘った運動にある。このメーデーには有名なスローガンがあるが、大臣に是非このスローガンを言って頂きたい。

武見厚生労働大臣/ 当時アメリカでは12時間労働・14時間労働が当たり前であった時に、8時間労働がスローガンに掲げられ、後8時間は休息に、そして後8時間は自由な時間のためにということがその際のスローガンだったと聞いている。

大椿ゆうこ/ 100年以上前に掲げられたスローガンが今の日本で本当に実現されているか、大臣の所見は?

武見厚生労働大臣/ 日本では、労働基準法第32条で一日8時間・一週間40時間の法定労働時間を定めており、罰則をもって履行を担保をしている。一方、依然として違法な長時間労働が行われている事業場というのが存在しているというのは事実で、2022年度のデータでは違法な時間外労働の事業場が42.6%であったので、長時間労働は是正すべきだと考える。働く方々が健康を害したり、仕事と生活の両立が妨げられたりすることがあってはならないので、長時間労働を行っていると考えられる事業場に対しては労働基準監督署が監督指導を行っている。こうした取組により、しっかりと長時間労働の是正を図っていきたい。

大椿ゆうこ/ 2021年に総務省統計局が出した我が国における家事関連時間の男女差に関するグラフによれば、夫の家事関連時間はこの20年で少しだけ増えているとはいえ、一日平均1時間54分。それに比べ、女性は7時間28分と、ほとんど変わっていない。また、OECD諸国の中で日本の女性の睡眠時間が世界一短いという統計もある。家事・育児・介護等が女性に偏っているということがこのデータの中からも見て取れると思うが、大臣の感想は?

武見厚生労働大臣/ 韓国と日本の睡眠時間が少ないというのは、アジアの儒教文化というのが背景にあるのかなという気もするが、やはり是正すべき対象だという認識は持っている。日本において、依然として、男性が仕事をしつつ家事・育児に取り組むことが当然というのが受け止められにくい職場風土や、家事・育児負担が女性に偏りがちである状況があり、その是正に向けては、固定的な性別役割分担の意識を解消していくための努力をしていかなければならないんだろうと思う。男女共に希望に応じて仕事と育児を両立できるようにするというのが私どもの考え方であることは、改めて確認しておきたい。

大椿ゆうこ/ メーデーのスローガンは男たちのスローガンだということを言う人は少なくない。自分のしたいことのために使う8時間の多くを女性たちは家族をケアするために使ってきた、自分の好きなことをするための8時間なんてなく、自分の睡眠時間を減らして家族のケアに当たってきたと言われている。私は、性別役割分業が明確に表れている中での女性たちの率直な思いだと思う。100年以上前に掲げたスローガンが実現できていない背景に、家父長制の問題や性別役割分業を前提として日本の法律や制度が作られてきたことがあるのではないかということは、この委員会の中でも引き続き議論していきたい。

教員の長時間労働について

大椿ゆうこ/ 大臣が長時間労働是正に関しての決意をしっかりと語って下さったので、長時間労働の最たるものである、教育現場の長時間労働について質問したい。最近中央教育審議会は、給特法の教職調整額(残業代を払わない代わりに教員の給与に一律上乗せする金額)を現行の給料月額4%から10%以上に引き上げるという素案を打ち出した教職調整額を引き上げたところで、「定額働かせ放題」を固定化するだけだと思っているが、文科省の認識は?

政府参考人[文科省]/ 中央教育審議会の審議のまとめにおいても、教職調整額の引上げなど教師の処遇改善のみならず、働き方改革の進捗状況の公表等を教育委員会が行う仕組みを検討すること、教職員定数の改善や支援スタッフの配置拡充などによる学校の指導運営体制の充実など、学校における働き方改革の実効性の向上等のための総合的な取組が提言されている。文科省としては、この審議のまとめも踏まえ、教師が心身共に充実した状態で子どもたちに良い教育を行うことができるよう取組を進めていく。

大椿ゆうこ/ 現役の教員の方々は、教職調整額の引き上げでは長時間労働の固定化になるのではないかと声を上げている。当事者の声を聴いて、真剣に議論して頂きたい。

タイトルとURLをコピーしました