性暴力の再発をどう防ぐ?
大椿ゆうこ/ 事件・事故が起こるたびに、米軍は米軍関係者の基地外への外出等を規制するリバティー制度で対応している。本当にこれには効果があるのか?
中谷元防衛大臣/ 米軍人の犯罪等については、まず米側が努力をし、隊員の教育・綱紀粛正を行い、再発防止の徹底をすることになっている。そこで、リバティー制度が設けられ、今運用されている。また、事件が起こった際には、私から、ターナー在沖四軍調整官、スミス米海兵隊司令官、ヘグセス国防長官等に、事件が起こったこと等を申入れ、再発防止に努めている。
大椿ゆうこ/ 事件が起こってからでは困る。事件が起こる前にどうできるのかということが問われていると思うが、このリバティー制度は本当に効果があるのか?
中谷防衛大臣/ リバティー制度は昨年10月から運用が開始(※正確には、全部隊対象に強化されたリバティー制度の運用が開始)され、例えば、深夜午前1時から5時までの飲食店への入店禁止、外出の許可をしないというようなこと(※報道によれば、外出禁止は19歳以下の軍人に限られるよう)、そして指揮官の監督責任の強化が明示されている。隊員教育も行っており、事件・事故の再発防止のために一つの有力な仕組みになってきたと認識している。
大椿ゆうこ/ 2024年一年間に沖縄県警が刑法犯で摘発した米軍関係者は80人と、前年から20人増え、過去10年で最多になった。なぜ増えたのか? 本当にリバティー制度というのは効果があったのか?
岩屋外務大臣/ ご指摘の統計は承知している。刑法犯増加の原因について確定的なことを言うのは困難だが、いずれにせよ米軍関係者による事件・事故はあってはならないと考えており、私からは直近ではジョスト在日米軍司令官に対して米軍人等による事件・事故防止の徹底について働きかけ、石破総理からも首脳会談で沖縄の負担軽減の必要性を説明した。防衛大臣においても、その取組をして頂いていると思う。米側に対しては、一層綱紀粛正・再発防止の徹底を働きかけていく。
大椿ゆうこ/ 岩屋外務大臣だけでなく、これまでの大臣も度々米軍に対して働きかけを行ってきた。それでも繰り返される。そのことに対して、岩屋大臣は率直にどう思っているのか?
岩屋外務大臣/ それは、やはりあってはならないことで、甚だ残念なことであり、遺憾なことである。従って、引き続き綱紀粛正・再発防止ということを、あらゆる機会を通じて働きかけていきたい。
大椿ゆうこ/ アメリカ・ブラウン大の研究によれば、米軍内の性暴力は年間7万件以上起きている(国務省公表の2~4倍)と推測されている。米軍自身の中で起こる性暴力すら防げていないのに、リバティー制度に効果があるのか?
岩屋外務大臣/ 個別の学術機関の研究結果について、政府の立場からコメントすることは差し控えたい。その上で、やはり米軍による事件・事故というのは、地域の皆さんに大変な不安を抱かせることになるし、在日米軍の安定的な駐留のためにも好ましくないと考えている。従って、引き続き米軍に対して綱紀粛正・再発防止の徹底を働きかけていく。
大椿ゆうこ/ このような性暴力が繰り返されていく背景に、不平等・不公平な日米地位協定というものが大きく関係しているのではないかと思う。石破総理は、対等な日米関係を築くべきだと訴え、日米地位協定の改定を目指すと明言されている。今政府としては、日米地位協定改定に向けた準備をしているのか? 具体的にどのような条項をどう改定するのか、検討しているか?
林官房長官/ 日米地位協定を含むアジアにおける安全保障の在り方については、現在自民党で「アジアにおける安全保障のあり方特命委員会」が開催されており、幅広い議論が行われていると承知している。今後、引き続き自民党において議論を重ねていくものと承知しているが、その議論を踏まえつつ、日米同盟の抑止力・対処力を強化するとともに、その強靱性・持続性を高めていくという観点から検討・対応していく。
大椿ゆうこ/ 本当に性暴力が起きるようなことをやめて貰いたい。止めて欲しい。沖縄だけでなく、米軍基地のそばに住んでいる方々が、米軍基地があるが故に性暴力に遭うことは嫌だと思う。そのことについてどう対処するか?
岩屋外務大臣/ 引き続き、再発防止・綱紀粛正をしっかり働きかけていく。
林官房長官/ 様々なレベルで平素からやり取りを行い、綱紀粛正等を働きかけている。外務省等々としっかり連携をしながら対応していきたい。
大椿ゆうこ/ 綱紀粛正だけでは不十分だということを伝えて、質問を終わる。
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