3月26日(水)は予算委員会で質問に立ちました。参議院の予算委員会は、「片道」という方式が取られます。通常の質問は「往復」方式という、各質疑者に割り当てられた質問時間に政府側の答弁時間を含み込む方式ですが、「片道」方式では質疑者の持ち時間に答弁時間が含まれません。つまり、どれだけ答弁が長くても、質疑時間が減らない仕組みです。
今回、大椿ゆうこは「片道」10分の質疑時間を頂きました。細かい質問を重ね、出来るだけ政府側に答弁させることが求められる(※概ね政府側に合計20分答弁させることが想定される)「片道」の質問。予算委員会独特の利点を最大限活用し、政府を追及しました。
今回取り上げたのは二つのテーマ。まずは、前日に大阪高裁で同性婚を認めない規定を憲法違反とする判決が出たことを受け、最高裁判決まで待たず速やかに同性婚法制化を実現すべきと迫りました。(※【参考】以前「公益社団法人Marriage for All Japan~結婚の自由をすべての人に~」の皆さんが同性婚法制化を求めて訪問された際の記事はこちら)
今回の質問の短い概要は、社会新報の記事でお読みいただけます。
大阪高裁判決の受け止めは?
大椿ゆうこ/ 昨日、札幌・東京・福岡・名古屋の各高裁判決に引き続き、大阪高裁でも同性婚を認めない規定を憲法違反とする判決が出された。この判決内容、並びにその受け止めについて、官房長官に問う。
林芳正官房長官/ 大阪高裁の判決は、同性婚を認めていない国の立法不作為を理由に国家賠償を求めた原告らの控訴を棄却したものの、その理由の中で、婚姻に関する民法等の規定が憲法14条1項(法の下の平等)及び24条2項(家族生活における個人の尊厳と両性の本質的平等)に違反するとの判断を示したものと承知している。5つの高裁判決については、いずれも現段階では確定前の判決で、以前に判決がなされた4つの訴訟には最高裁判所に上訴されているため、その判断も注視していきたい。
大椿ゆうこ/ 注視するということも何度も聞いている。その件についてはまた後で聞くが、認定NPO法人ReBitの「LGBTQ子ども・若者調査2022」によれば、回答した10代のLGBTQのうち48.1%が自殺念慮、14.0%が自殺未遂、38.1%が自傷行為を経験している。10代全国調査比較と比較すると、自殺念慮が3.8倍、自殺未遂が4.1倍となっている。三原内閣府特命担当大臣(こども政策)はこの調査をどのように受け止めるか?
三原じゅん子国務大臣/ このデータから、国の制度的な取扱いが性的マイノリティーの若者が自殺念慮等を経験した割合の高さにも繋がっているとまでは一概に言えないまでも、性的マイノリティーの子ども・若者の自殺念慮等を経験した割合が高いことは示されていると思う。こうした状況も踏まえ、政府としては、性的マイノリティーの方々の生きづらさを解消するために、性的指向・ジェンダーアイデンティティーの多様性に関する理解の増進が不可欠であると認識しており、理解増進法の下、関係府省で連携してしっかりと取り組む。同じ調査に、安心できる居場所がある場合、また信頼できる相談者がいる場合には自殺念慮等の数値が低減するといったデータもあるため、こども家庭庁としては、性的マイノリティーの子ども・若者も含めて、安心して過ごせる居場所づくり、信頼できる相談窓口の確保等をしっかり進めていきたい。
注視はもういい!速やかに法制化を!
大椿ゆうこ/ 安心できる場所、安心して相談できる人たちが、LGBTQの10代の子どもたちには不十分なのではないか。この調査結果を見ても、もう注視する時ではないのではないか。大阪高裁は、唯一合憲と判断した大阪地裁判決を覆し、違憲判決を出した。5か所の高裁が違憲判決を出したので、もう注視はいい、立法措置をとってくれというのが当事者たちの思いだ。それにどう応えるのか?
林官房長官/ 同性婚が認められないことで負担を感じておられる方々の声というのは、十分承知している。他方、同性婚制度の問題は、親族の範囲、またそこに含まれる方々の間の権利義務関係等、国民生活の基本に関わる問題で、国民一人一人の家族観とも密接に関わるものだと認識をしている。そのため、政府としては、国民各層の意見、国会における議論の状況、同性婚に関する訴訟の動向等を引き続き注視していく必要があると考えている。
大椿ゆうこ/ 世論調査をしたら、6~7割の人たちが同性婚に賛成という意見だ。その受け止めは?
林官房長官/ 同性婚が認められないことで負担を感じておられる方々の声というのは、十分承知している。しっかりと対応していきたい。
大椿ゆうこ/ やはり最高裁判決を待たず、立法措置をとるべきではないか?
林官房長官/ 確定前の判決で、上訴されている。引き続き、国民各層の意見、国会における議論の状況、同性婚に関する訴訟の動向などを注視していきたい。
大椿ゆうこ/ 注視している間に亡くなる人たちもいる。私の同性愛者の友だちは3人、自ら命を絶った。今、国会の中でこういう議論がなされていることを天国で見ていて、もしかしたら喜ばしいと思っているかもしれないが、まだ国会の対応はこんな状況だ。私たちは、(立憲・社民会派として)婚姻平等法を提出し、社民党も2004年から同性婚法制化を公約として掲げている。今、最高裁を待たず立法措置をとるべきだと強くお伝えする。
※同性婚部分の動画はこちら