3月13日、厚生労働委員会の報告第2弾、今回は最低賃金の引き上げについてです。
石破首相は施政方針演説で、「2020年代に全国平均1500円」を掲げました。岸田首相の「2030年代半ばまで」より、かなり踏み込んだ目標の実現のためのロードマップがあるかどうかや、最賃全国一律化の必要性について質問しました。
最低賃金全国一律1500円をすぐに
大椿ゆうこ/ 福岡大臣は所信の中で、最低賃金について「2020年代に全国平均1500円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けます」と発言している。石破首相は、3月10日に経済財政諮問会議を開き、5月末をめどに対応策を公表する方針を明らかにした。対応策の検討はどこが担当し、どのように進めるのか?
政府参考人[内閣官房]/ 昨年11月26日の政労使の意見交換において、総理から最低賃金引上げのための対応策を本年春までに取りまとめるよう指示があった。また3月12日の政労使の意見交換でも、総理から、赤澤亮正・経済再生担当大臣を中心に、最低賃金引上げのための効果的な施策を具体化し、5月を目途に取りまとめるよう改めて総理から指示があった。対応策の中身は、①適切な価格転嫁の推進、②生産性向上に向けた省力化・デジタル化投資の促進、③人材経営基盤を強化する事業承継やM&Aの後押しなどについて、新しい資本主義実現本部において厚労省・経産省とも連携し、更に具体化していく。
大椿ゆうこ/ 先日訪れた秋田県は、最低賃金が全国最低の951円だ。この秋田県で2020年代に最低賃金1500円を実現するならば、一年100円以上の賃上げが必要だ。2020年代に全国平均1500円を実現するには相当な政府の準備が必要だと思うが、政府は賃上げのためのロードマップを作っているか?
政府参考人[厚労省]/ 今年5月を目途に対応策を取りまとめることとされており、まずはこの検討を進めていきたい。
大椿ゆうこ/ 最低賃金1500円の実現のためには、年2回の最低賃金の改定が必要だと考えている。最低賃金の問題に長年取り組んでいる労働組合の方々も、同様の内容を厚生労働省に申し入れている。また、秋田や、自分の故郷岡山を含め、全国各地が人口流出の問題を抱えている。石破総理が施政方針演説で掲げた「若者や女性にも選ばれる楽しい地方」の実現のためには、全国一律の最低賃金を考える必要があると強く思っているが、どうか?
福岡大臣/ 最低賃金法は全ての使用者に適用されるものであり、一年に複数回の改定を行うことについては実務面への影響もよく考慮する必要がある。改定額や改定頻度については、公労使の意見を聞きながら検討していくべき課題である。全国一律の最低賃金については、私も地元が佐賀県なので、福岡や大都市部に人が出て行ってしまう状況がある。近年は地域間格差の是正に配慮した最低賃金の引上げを行っており、10年連続で最高額に対する最低額の比率は改善いる。全国一律ということではなく、その差を縮めていくような努力をしていきたい。