2月28日、「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」の皆さんが国会にお見えになり、遺骨収容に向けた取り組みの現状と、政府に対する支援要請を行いました。
この日は午前11時から、厚生労働省本省に集合し、韓半島出身者の遺骨返還を担当する厚生労働省職業安定局総務課人道調査室の鈴木良尚室長、及び外務省北東アジア第一課の栗田伸一地域調整官と面会しました。面会には「刻む会」の井上洋子共同代表、上田慶司事務局長、また国会議員としては大椿ゆうこの他、福島みずほ参議院議員(社民党)、平岡秀夫衆議院議員(立憲民主党)、小池晃参議院議員(日本共産党)が同席しました。
面会冒頭、井上共同代表は「長生炭鉱のご遺骨を放置したまま、未来志向の日韓関係など語って欲しくない」と、日韓国交正常化60年、また戦後80年の節目にあたる今年、日本政府が責任をもって遺骨収容の支援をするよう要請しました。
要請書の手交を終えた後、まずは「刻む会」のお二人が長生炭鉱の現状と今後の活動の予定を伝えました。
次回の調査に向けた課題
1月31日から2月2日にかけて、水中探検家の伊左治佳孝さんが潜水調査を行いました。その時に坑口から300mほど先の坑道最深部に到達し、遺骨を見つけ出せるかもしれないと期待されていましたが、坑口から200~265m入った地点で坑道が崩落しており、それより先に入ることが出来ませんでした。そこで、「刻む会」は坑口から主坑道を通って坑道最深部を目指すのではなく、側道を通って崩落部を迂回する、もしくはピーヤ(排水塔・排気塔)から主坑道を目指す方針へと転換することを決めました。
昨年10月の調査で、ピーヤの中には障害物が多く、先に進みづらいことが明らかになりました。そこで「刻む会」は専門業者の協力を得て、3月19日から障害物除去作業を開始します。3月19日に沖・岸の2つのピーヤそれぞれにアルミ製のはしごをかけ、20日から1週間ほどかけて水中のこぎりを用いて障害物を切断し、手作業で除去する計画です。
4月には、韓国「テックコリア」のダイバー二人も参加し、日韓共同の潜水調査を行う予定です。その時にご遺骨が見つかれば、5月以降も遺骨の調査を継続します。
調査の障壁となるのは、坑口の腐食と坑道内の視界の悪さです。坑道は松の板で支えられていますが、坑口を開けたことで坑口付近の松材が空気に触れ、腐食が始まってしまいました。空気に触れてから一年もすれば、松の板が溶けるようになくなってしまい、せっかく開けた坑口が塞がってしまうとのことなので、一刻も早く坑口を補強しなければなりません。
また、坑道を満たす水は、手元も見えないほど濁っています。そこで、「クリフロック」のような凝集降下剤を使って水の濁りを取る予定です。ただし、凝集降下剤と水とをかき混ぜる必要があるため、どのようにしてかき混ぜるか今後検討が必要です。
厚労省・外務省に支援を要請
「刻む会」は、これまで2回のクラウドファンディングで、延べ2000万円以上の資金を調達してきました。しかし、これから坑口の補強や、継続的な遺骨の調査を行うためには、まだまだ資金が必要です。そこで、厚労省・外務省に、それぞれ次のような要望を出されました。
「刻む会」作成の要請文と資料はこちら ※「刻む会」の許可を頂いて掲載しております