2月9日(日)「いぢち恭子と社民党多摩支部新年のつどい」 和田靜香さんとトーク

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非正規労働者はスキルを持っている!

和田/ せっかく正規になっても、就業環境が悪くて1年で辞めてしまうと、キャリアは詰めない。リスキリングと言われても、無理だ。

大椿/ 最近リスキリングとしきりに言われるが、「そもそも非正規労働者にスキルはあるんだ!」と言いたい。

和田/ 誰にでもできる仕事なんてどこにもない。例えば、私がスーパーでバイトをしている時、天ぷらを揚げるのが超絶上手なパートの女性がいた。お客さんがその人が揚げる時間を待っていて、その人が揚げた天ぷらは瞬く間になくなっていく。そんな風に、天ぷらを揚げるのにも、肉を切るのにも、スキルが要るけれど、そういうスキルを持った人が最低賃金近い賃金で働かされている。就労支援の団体とも付き合いがあるが、リスキリングをしても給料は殆ど上がらない、という声も聞いている。

大椿/ 昨年、日本郵政のストライキに参加した際、「いつか正規になれると思って色々と資格を取ったが、結局正規になれなかった」と泣きながら力強く訴えている方がいた。私はたまたま国会議員になったが、自分の経験は特別なものではなく、むしろ同世代の多くが体験したことだと思っている。この世代の人が、どこでも経験している問題だと考えれば、これは政治の失策と言えるのではないか。

非正規労働者だけでなく、フリーランスの問題も深刻だ。労働者としての権利が全く保証されていない。

和田/ 19歳くらいからフリーランスのライターとして仕事をしている。最初は湯川れい子さんのアシスタントをしており、その流れで音楽ライターをしていた。27歳の時に湯川さんのところは辞めたが、当時は書く仕事だけで食べていけていた。しかし、今は書く仕事だけで食べていけるフリーライターなど殆どいない。同じ仕事なのに、書くということに対する評価が下がってしまっている。私がバイトをしながらライターをしていると、「好きな仕事をしているんだから自己責任だ」と言われれしまう。そういう自己責任論が世の中の大方の認識になってしまっている

フリーランスには何の保障もなく、病気になったら一巻の終わりだ。フリーランス新法が出来たが、これまでフリーランスの働く環境が整えられることは一度もなかった。フリーランスは仕事の委託主とある種の雇用関係にあるが、労働者とはみなされない。

大椿/ 法律における労働者の定義を変えなければならないという議論はすでにされている。働き方が多様化し、個人事業主と言われても指示を受けて働いている人もいる。法律の定義が世の中の実態に追いついていない。

氷河期世代の老後のために政治が出来ること

大椿/ 今日は、和田さんと、どうしたら私たちが幸せに年をとれるかと言う話をしたい。氷河期世代に対する支援に女性だからこその視点を反映させるためにも、私たちが声を上げる必要がある。

和田/ 私は住まいの問題についてずっと声を上げており、大椿さんの政策に「住まいの貧困を解消」というのがあって嬉しい。日本は戦後ずっと持ち家政策、しかもジェンダー化された持ち家政策を採ってきた。結婚して家を建てる夫婦に住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)等が貸し付けを行うという仕組みで、女性が一人で家を建てるのはとても難しい。氷河期世代の人は賃金が安く、結婚せずに賃貸住宅に住んでいる人も多い。その人たちはみんな厚生年金に入っておらず、今は働いて家賃を賄えていても、年金暮らしになると家賃を払えなくなってしまう。

大椿/ 年金はどんどん減らされており、高齢者の中には家賃のために仕事を続けなければいけない人もいる。一方、大阪には空き家になっている公営住宅がとても多い。公営住宅の空室に氷河期世代の方に住んでもらい、就職支援をセットで行う等、今ある住宅をどのように活用するかも考える必要がある。

和田/ 住宅と言うハコを与えるというだけでなく、それに加え、誰に入ってもらいどのようなサービスを行うか、という厚労省的な目線が必要だと思う。

大椿/ 公営住宅の入居には、現在同居している親族がいること等が要件とされているが、これも見直す必要がある。大阪では、公営住宅の空室を若者支援に活用する事例もある。今までの公営住宅の条件を変えれば、住まいの貧困の問題から離れて生活できる人も増えると思う。自分も大阪市内で空き家をリフォームした家に住んでいる。これまでの住宅政策は、新築の家を建てることが中心だったかもしれないが、これからは今あるものをリフォームすることで経済を回しても良いのではないか。

和田/ 後は、やっぱり最低賃金を上げて欲しい。シングル女性や就職支援の現場を取材してもみんな同じことを言うが、政治は一番大事なことを後回しにしている。「103万円の壁」の問題より、最賃引き上げを!

大椿/ 石破首相は所信表明演説で、「適切な価格転嫁と生産性向上支援により最低賃金を着実に引き上げ、2020年代に全国平均1500円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けます」と述べた。「2030年代半ばまで」と言っていた岸田政権からは前進だが、どこが「高い目標」なのか。

「103万円の壁」の引き上げで手取りが増えたと実感できる人がどれくらいいるのか。そもそも夫の扶養の範囲内で働くということを前提にしている制度そのものを見直すべきではないか。

和田/ 女性にとって大事なことをオジサン政治はないがしろにしていると感じる。

大椿/ 女性議員を増やすことで、女性の抱える問題に取り組む人を増やせる。

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