12月24日(火) 臨時国会閉会 補正予算について

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12月24日、第216回臨時国会が閉会しました。衆議院選挙が終わり、与党が過半数割れして迎えた初めての国会。「政治が変わった」と実感して頂ける国会になったでしょうか…? 法案審議などはあまりされていないので、目に見える変化はまだ少ないですが、「熟議しなければならない」という雰囲気になったことは確かです。

「目に見える変化」の一例が、補正予算の修正です。 今回、1996年の「住専国会」以来28年ぶりに、立憲民主党の修正案に与党が応じ、地震と豪雨の被害を受けた能登地域の復興のため一般会計予備費1000億円を充てることになりました。補正予算案(※概要はこちら)は、自民・公明・維新・国民らの賛成により、12月17日参議院本会議で可決・成立しました。

とはいえ、この補正予算には問題が多く、社民党は会派を組む立憲民主党と共に反対しました。

問題の第一は、「規模ありき」で、財政規律を欠いていることです。「新たな経済対策」として総額13.9兆円まで膨れ上がった補正予算ですが、そのうち6.69兆円は公債費、つまり借金で賄われます。今回の予算は、緊要性が不明確な事業・基金に莫大な予算を割くことで、国債発行への依存を強め、負担を将来に先送りし、将来の政策の自由度を狭める予算です。

財政法第29条は、「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合」「予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合」に限り、内閣は国会に補正予算を提出できると定めています。しかしながら、本来当初予算に盛り込むべきものを補正に入れ込んでいるため、通常国会でしっかりと必要性を審議すべきものが短時間の審議で通ってしまいました。

例えば宇宙開発基金は、当初予算には100億円しか計上されていなかったにもかかわらず、補正予算は3000億円に膨れ上がりました。また、総務省は「マイナンバーカードの利便性の向上、取得環境の整備等」に1236.9 億円を計上しました。さらに、「AI・半導体産業基盤強化フレーム」として1.3兆円が計上されていますが、「民間投資」を促すとの理由付けで半導体メーカー「ラピダス」等の民間企業に対する巨額の公金が投入されています(経産省の補正予算のうち、「先端半導体の国内生産拠点の確保」(4714億円)はラピダス支援とみられます)。会派を組む立憲民主党は、能登復興の予算計上に加え、緊要性の観点から「積み過ぎ」と考えられる基金への支出、計約1兆3600億円を減額することを求めていましたが、受け入れられませんでした。

補正予算案には、軍事費(防衛費)が8268億円も計上されています。その中身はこちらでご覧いただけますが、オスプレイ配備のための佐賀空港(駐屯地)の整備、ミサイル弾薬の確保、馬毛島への空母艦載機の移駐、辺野古新基地建設などに必要な経費が積み上げられています。予算書の中では、これらの支出は「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策(以下「経済対策」という。)の一環」のためと説明されていますが、果たして軍拡が経済対策と言えるでしょうか?

さらに、来年予定されている大阪・関西万博のための整備費・広報費・機運醸成費も盛り込まれており、経済産業省の補正予算案に計上されている国際博覧会事業費は511億円です。

生活が苦しい時に、人々の生活を直接支える予算ではなく、軍拡や企業の利権、万博のために税金を充てるのは本末転倒です。年明けの通常国会は、当初予算の審査が行われます。社民党・大椿ゆうこは、臨時国会以上に、「税金はくらしに」の視点で予算を厳しく精査してまいります。

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