12月23日(月) 消費者問題に関する特別委員会で質問 公益通報を行った労働者を守れ!

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兵庫県知事の不祥事に関する県職員の告発、及びその後の知事の対応によって注目を浴びる公益通報者保護法について質問しました。

2024年3月12日、兵庫県の元西播磨県民局長が、斎藤元彦知事によるパワーハラスメントや公職選挙法予算、信用金庫に対する補助金の不正支出等の不祥事を、マスコミや県議会関係者に対して匿名で告発する文書を送付しました。20日に告発文書を県議から受け取った斎藤氏は、側近の片山安孝副知事らに「誰がどういう目的で出したか徹底的に調べてくれ」と指示し、県庁内では「犯人探し」が行われました。4月4日、元県民局長は県の公益通報窓口に改めて通報を行いましたが、5月7日、知事は元県民局長を停職3か月の懲戒処分にしました。激しい犯人探しと、拙速な処分が行われた後、元県民局長は7月に自ら命を絶たれました。

公益通報を行った労働者が探索されるとなれば、労働者は委縮し、職場に問題があっても通報できません。兵庫県の事例が公益通報者保護法に対する信用を傷つけたのではないかとの視点で質問を行いました。大臣や参考人からは踏み込んだ発言を引き出すことが出来ました。

犯人捜しは不利益取り扱いに該当

大椿ゆうこ/ 公益通報の通報先は、①事業所内部(1号通報)、②権限を有する行政機関(2号通報)、③その他の事業者外部(報道機関等、3号通報)となっており、公益通報者保護法第3条によれば、通報先によって保護の要件が定められている。労働者等が事業者に通報せず、最初から行政機関や報道機関等に外部通報を行ったことだけをもって、保護の要件を満たさないと判断されるわけではないということで相違ないか?

政府参考人[消費者庁政策立案総括審議官]/ 公益通報者保護法では、通報先に応じた要件の下で保護を行っている。2号通報が保護されるために、事前に一号通報をすることは要件となっていない。また、3号通報が保護されるためには、通報内容が信ずるに足りる相当な理由がある場合であり、かつ1号または2号通報をすれば、解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当な理由がある場合などの6つの要件のうちの1つを満たせば保護の対象となる。こちらも、事前に一号通報をすることは要件とされていない。

事業者内部に行う通報(1号通報)を内部通報、行政機関(2号通報)や報道機関等(3号通報)に行う通報を外部通報と呼びます。外部通報が保護されるには、内部通報よりも多くの要件を満たす必要がありますが、いずれにせよ先に内部通報を行うことは必要とされていません。兵庫県の事例では、最初に外部通報を行ったことが不適切だったかのように言われることもありますが、要件さえ満たせば最初に外部通報しても保護されることを確認しました。

大椿ゆうこ/ 3号通報の保護の条件として、「1号・2号通報をすれば、解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある」ことなどが必要とされている。通報者の探索、いわゆる「犯人捜し」が行われることにより、精神的苦痛を受けたり、就業環境が悪化させられるおそれがあることも、内部通報を妨げる大きな要因になっているのではないかと考える。通報者の探索は不利益取扱いとして法文上明記されていないが、不利益取扱いに該当すると考えるか?

政府参考人[消費者庁政策立案総括審議官]/ 通報者の探索については、「公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針」において、「事業者の労働者及び役員等が、公益通報者を特定した上でなければ必要性の高い調査が実施できないなどのやむを得ない場合を除いて、通報者の探索を行うことを防ぐための措置をとる」旨を定めている。公益通報を理由とした事実上の嫌がらせなど、精神上・生活上の不利益な取扱いについては、公益通報者保護法において禁止されている事業者が公益通報者を探索することにより、公益通報者が精神的苦痛を受けたり、その就業環境が悪化させられたりした場合には、不利益な取扱いに該当する可能性があると考える。

外部通報した際に「犯人捜し」が行われるとすれば、労働者は職場に問題を見つけても通報をはばかってしまいます。犯人捜しが不利益取り扱いに該当する可能性があると明言する答弁を引き出せたのは意義深いです。

大椿ゆうこ/ 消費者庁が作成した「公益通報ハンドブック」36ページのQ&Aの中には、不利益取扱いの例として、労働者たる地位の得喪、人事上の取扱い、経済待遇上の取扱いに加え、精神上・生活上の取扱いに関することとして、事実上の嫌がらせ等が挙げられている。公益通報者保護法において不利益取扱いの中身をより詳しく法文化し、とりわけ精神上・生活上の不利益取扱いも禁止されている旨をより明確に示すべきではないか?


政府参考人[消費者庁政策立案総括審議官]/ 公益通報者保護法第5条第1項は、事業者は「公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、降格、減給、退職金の不支給その他不利益な取扱いをしてはならない」と規定している。不利益な取扱いの範囲を法令で明確化することについては、消費者庁に設置された公益通報者保護制度検討会で有識者の方々が議論されており、消費者庁としては年内の取りまとめを予定している報告書の内容を踏まえて適切に対応していきたい。

兵庫県の事例を繰り返してはならない

大椿ゆうこ/ 現行法では、事業者が通報者に不利益取扱いを行った際、裁判等において通報者を事後的に救済することを定めているのみであり、不利益取扱いに対する罰則はないため、労働者が通報を行う障壁は高いと思われる。裁判は時間も費用も掛かるため、一旦解雇された労働者が解雇を不当として事業者と闘うことは容易ではないと、解雇された当事者として感じる。今回の兵庫県のような事例を目の当たりにすれば、今後通報することに二の足を踏む人が増えるのではないかと大変懸念する。現在行われている公益通報者保護制度検討会では、不利益取扱いに対する刑事罰の導入や通報者の探索の禁止なども検討されていると聞いている。兵庫県のように、通報者を死に至らしめるようなことを絶対に起こしてはいけないと思っているが、大臣は公益通報者保護制度の本来の趣旨が尊重され、労働者等通報者の安全や命を守るために、どのように取り組んでいくつもりか?

伊東良孝・内閣府特命担当大臣/ 検討会では今年の5月から、不利益取扱いの抑止のため、公益通報を理由とする不利益な取扱いをした者に対する刑事罰を導入することも含め、制度の実効性向上に関する議論がなされている。年内に取りまとめが予定されている報告書の内容を踏まえて適切に対応していきたい。

大椿ゆうこ/ 兵庫県では、通報者の個人情報が漏洩されたのではないかということも大変大きな問題になっている。情報漏洩に対して、大臣としてはどのように受け止めているか?

政府参考人[消費者庁政策立案総括審議官]/ 通報者に関する情報が外に出てしまうことは本当に避けなければならないと考えている。現行法の中でも、300超の労働者を抱える事業者については体制整備義務が課されており、公益通報を扱う従事者を指定しなければならず、この従事者には罰則付きで守秘義務が課されている。こうした体制がきちんと事業者で取られるよう、引き続きしっかり指導したい。

大椿ゆうこ/ 公益通報をした労働者が解雇をされ、そして精神的に追い詰められる、兵庫県の場合は自ら命を絶つというようなことになってしまった。このことを繰り返さないために、大臣としてしっかりと警鐘を鳴らして頂きたいと思うが、大臣の考えは?

伊東良孝・内閣府特命担当大臣/ 仰る通りだ。これから罰則を含めた検討がなされるということであります。これについては様々な意見があると聞いているので、私としては制度を実効性あるものにしていきたいし、同じようなことが繰り返されてはならぬという強い思いを持っている

大椿ゆうこ/ 公益通報をした人が不利益を被ることがないように、そして命が奪われることがないようにして頂きたいし、何より事業者に周知を広める努力をする必要があると思っているとお伝えし、質問を終える。

質疑の動画はこちら

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