防衛省の宣伝に、インフルエンサーを利用?
本件に関連し、防衛省によるインフルエンサー接触計画についても質問しました。
2021年9月17日、朝日新聞が防衛省が防衛予算の大幅増額を目指し、ユーチューバーや芸能人らインフルエンサー100人に「厳しい安全保障環境」を説いて回る取り組みを計画していると報じ、同年10月5日に当時の岸防衛大臣が会見でその計画を認めたと報じられました。弘兼氏の事件についても、「防衛省が自分たちに都合の良い言説を、発信力のある人物を通して流布させようとしているのでは?」との疑念の声が聞かれました。
防衛省は、「防衛省として有識者の皆様に防衛政策についてきちんとご理解頂くことは重要と考えており、有識者に対して説明することは以前からやっていた」とした上で、「防衛省が選んだ有識者を訪ね、我が国周辺の安全保障環境がどういうものなのか、それに対する防衛省の取り組み、防衛予算がどういう状況にあるのか等、防衛省がどういうことをやっているか理解頂くための説明を実施していた」と回答しました。防衛省が能動的に有識者を訪ねていたことは認めたものの、そこで行ったのはあくまで説明に過ぎないとの主張です。具体的に誰に説明を行ったのかは答えられないが、国会議員や専門家といった普段から防衛政策について話し合っている人以外だということです。
防衛省の政策を市民・国民に周知するためには、防衛省自ら直接国民に説明する場を増やせば良いものです。あえて「有識者」を選び出して接触したのには、何らかの特別な意図があったのではないかと考えるのが自然です。大椿ゆうこは、「目的もなく、説明だけのために接触するなんてあり得ない。本当は防衛省の宣伝や、防衛省の意図に沿った発信をするようお願いしたのではないか?」と追及しましたが、防衛省は「説明し、理解して頂ければ目的達成」との姿勢を変えませんでした。
この件については、これ以上深めた話をすることは出来ませんでした。しかし、防衛省から接触を受けた著名人が、そのことを明らかにしないまま防衛省の主張を流していれば、それはステルスマーケティング・世論操作同然になってしまいます。民主主義・文民統制に関わる問題ですから、この件についても、引き続き注視して参ります。