11月14日、防衛省から広報アドバイザーの任を受けている漫画家・弘兼憲史氏が連載「社外取締役 島耕作」の中で、辺野古新基地建設反対運動に関わる市民が日当を支払われているとのデマをあたかも真実のように書いていた問題について、防衛省から聞き取りを行いました。
衆院選真っただ中に起こったこの問題については、10月23日に防衛省に対して質問状を送り、29日に回答を受け取りました(詳細はこちらの記事をご参照ください)。しかしながら、回答の殆どが「回答差し控え」というものでしたので、改めて防衛省の職員の皆さんに議員室までお越し頂き、「防衛省広報アドバイザーの立場にある者がデマを流したことをどう考えるのか」と追及しました。
聞き取りの場には、普天間基地・嘉手納基地を抱える沖縄2区(宜野湾市・浦添市・中頭郡(読谷村・北谷町・嘉手納町・中城村・北中城村・西原町))選出の新垣クニオ衆議院議員と、服部良一幹事長も同席しました。
こちらから事前に防衛省に送った質問・要望事項は以下の通りです。
防衛省からは、大臣官房広報課・大臣官房会計課・地方協力局沖縄協力課普天間飛行場代替施設建設推進チームの担当者が来てくださいました。
※防衛省には書面での回答を送付するよう求めていますが、まだ受け取っておりません。届き次第、公開する予定です。
→ 11月20日に受け取った回答書はこちらです。
「知らぬ存ぜぬ」では許されない!
焦点の「日当」言説について、防衛省は「防衛省として日当が払われたとの事実は把握していない(=正しいか嘘かも把握していない)」、「防衛省は工事を行う立場なので、沖縄の運動の動機について逐一把握する立場になく、日当言説が事実に基づくものか確認するまでは対応しかねる」、「弘兼氏に対し、防衛省が普天間代替施設(=辺野古新基地)に関する説明や意見交換を行った実績はなく、民間の出版者の発言についてお答えすることはしない」と繰り返すばかりでした。
しかし、弘兼氏はただの「民間の出版者」ではなく、防衛省から広報アドバイザーの任を受けている方であり、そのような立場にありながら沖縄の運動の真正性を貶めるデマを流したことについて防衛省として責任を持って対応すべきと考えるからこそ、私たちは今度の聞き取りを行いました。大椿ゆうこは「弘兼氏のデマが防衛省の工事を後押しするものだからこそ、防衛省が書かせたのではないかと裏を疑ってしまう。彼が勝手に書いたで済ませて良いのか」と、また新垣議員は「アドバイザーである人物が、日当が配られているのを事実かのように発信すると、沖縄県民が(反基地・平和運動を)頑張ってやっているのが全部否定される。県民としては全く納得できない。防衛省はもっと真剣に考えるべきだ」と追及しました。
今回は沖縄県民・沖縄メディアをはじめ、市民の皆さんがすぐに抗議をしたことで、弘兼氏と編集部が謝罪をすることになりました。しかし、防衛省はアドバイザーの地位にある人物がデマを流しても、それを否定せず、むしろ流布されるのを放置していました。防衛省がデマにお墨付きを与えたのだと言っても過言ではありません。
防衛省の担当者は、「各界で活躍されている方々から、防衛省・自衛隊の広報活動をより効果的に実施するために必要な助言を頂く」「(アドバイザーに)SNSとか広報イベントにご協力頂くことを通じ、防衛省の活動について広く国民の皆さんにご理解頂く」ことを目的に、広報アドバイザー制度を設けていると説明しました。事実関係の確認もせず、防衛省が関わる事業についてのデマを流す人物に、アドバイザーを務める資質はないはずです。
「自分たちには関係ない」「答える立場にない」と放置していれば、防衛省は弘兼氏に「日当」デマを書かせたのではないかと言う疑問を持たれることになります。大椿ゆうこらは、防衛省として事実関係を説明する、弘兼氏とのアドバイザー契約を解除する等の対応を考えるべきではないかと主張しましたが、防衛省の回答は2025年5月31日の任期まで契約を続けるというものでした。
「日当」デマは、辺野古新基地建設運動を攻撃するため何度となく流され、そのたびごとに否定されてきました。どんな思いで辺野古に座り込むかを知らない人々が発したデモは、身銭を切り体を張って運動する方々を、何度となく傷つけてきました。そのようなデマを流す人をアドバイザーとして登用し続けることは、防衛省にとってもマイナスでしかありません。担当者の皆さんには、今日の内容を省内に持ち帰り、上司と共に本件の深刻さを考えて欲しいとお願いしました。